警視庁は2026年7月31日、同庁の「サイバーセキュリティ対策本部」を名乗る偽メールが出回っているとして、公式サイトで注意を呼びかけた。メールは「マイナポータル関連アカウントに第三者による不審なアクセスが記録された」などと不安をあおり、リンクへの誘導を図る内容だという。警視庁には30日以降、この偽メールに関する問い合わせが相次ぎ、報道によると31日午後2時半までに64件に達した。
どんなメールなのか
確認されている偽メールは、件名に「【警視庁】マイナポータル:不審なアクセスの確認」などと記され、本文に「警視庁サイバーセキュリティ対策本部」を名乗る署名が入っている。受信者に対し、マイナポータル関連のアカウントへ第三者による不審なアクセスが記録されたと告げたうえで、「オンライン確認画面へ」といった文言のリンクをクリックするよう促す作りになっている。
警視庁は公式サイトで、このリンクを「押さないでください」と明言している。報道によれば、リンク先では個人情報やクレジットカード情報、IDやパスワードの入力を求められる可能性があり、こうした情報を入力してしまうと、実在の機関を装って偽サイトへ誘導し情報を騙し取る「フィッシング詐欺」の被害につながる恐れがある。警視庁はマイナポータルに関するメールを送信しておらず、そもそも公的機関が急に個人宛てにこうしたメールを送ることはないとしている。
「不審なアクセス」を装う手口の狙い
このメールの特徴は、公的機関の名をかたりつつ、「あなたのアカウントに不審なアクセスがあった」という文脈で受信者を動かそうとする点にある。身に覚えのないアクセスを知らされれば、多くの人は「早く確認しなければ」という心理になりやすい。攻撃者はその焦りを利用し、冷静に真偽を確かめる前にリンクをクリックさせようとしているとみられる。
マイナポータルという、行政サービスと結びついた身近な名称を持ち出しているのも、信頼させて警戒を解くための工夫だとみられる。実際に警視庁への問い合わせが短期間で64件に上ったことは、こうしたメールが不特定多数へ広く送られ、一定数の受信者が「本物かもしれない」と受け止めたことをうかがわせる。差出人の名称が公的機関であっても、それだけで内容を信用してはならないことを示す事例だ。
受け取ったときにどうするか
対策の基本は、メール本文中のリンクを直接クリックしないことに尽きる。アカウントの状態が気になる場合は、メールからではなく、マイナポータルや各サービスの公式サイトにブラウザから自分でアクセスして確認する。警視庁も、こうした不審なメール自体を開かないよう注意を促している。迷惑メールのフィルタリングや受信拒否の設定を活用することも、同種のメールに触れる機会を減らすうえで有効だ。
公的機関をかたるフィッシングは、税務や年金、給付金など、社会的な関心が高いテーマに便乗して繰り返し現れてきた。今回のマイナポータルを装う手口もその延長線上にあり、名称や文面を変えながら今後も送られてくることが想定される。組織においては、従業員に対して「公的機関を名乗るメールでも、リンクからではなく公式サイトで確認する」という基本動作を周知しておくことが、被害を未然に防ぐ近道になる。
出典・参考リンク
- 警視庁「警視庁サイバーセキュリティ対策本部をかたったニセメールに注意」
- INTERNET Watch「警視庁、メール受信者の注意力を逆手に取った『二段階式フィッシングメール』に注意喚起」
- FNNプライムオンライン「『サイバーセキュリティ対策本部』かたる偽メールに警視庁が注意喚起 問い合わせ64件」
補足
本記事はフィッシング詐欺という、金銭的・精神的な被害につながりうるセンシティブな話題を扱っています。不審なメールを受け取って対応に迷った場合は、各サービスの公式窓口や、警視庁サイバーセキュリティ対策本部(電話:03-3581-4321〈警視庁代表〉)などの公的な相談先に確認することをおすすめします。
