2026年7月28日に最大震度7を観測した「令和8年熊本地震」の発生を受け、警察庁は震災に便乗した悪質な事案への注意を呼びかけた。SNS上では偽の救助要請や募金詐欺、生成AIを使った偽情報も相次いで確認されており、被災地の混乱や人々の善意に付け込む動きが早くも確認されている。
2年半ぶりの震度7、被害と余震続く
気象庁によると、地震は2026年7月28日16時27分ごろ、熊本県熊本地方の深さ約16キロを震源として発生し、地震の規模を示すマグニチュードは7.1と推定されている。熊本県宇城市と氷川町で最大震度7を観測した。国内で震度7を観測したのは、2024年1月の令和6年能登半島地震以来、およそ2年半ぶりとなる。
報道によると、八代平野を中心に建物の倒壊や道路・橋の損壊、停電や火災などの被害が発生し、その後も余震が続いた。被災地では救助や生活再建の対応が続くなか、こうした混乱に乗じる詐欺や偽情報が問題となっている。
警察庁「震災に便乗した悪質事犯に注意」
警察庁の災害情報専用アカウントは7月29日、公式X(旧Twitter)で、震災に便乗した悪質な事案への注意を呼びかけた。投稿では、公的機関などをかたって義援金の名目で金銭をだまし取ったり、被災者宅を訪問して家屋修繕などのうそを交えて不安をあおったりするなどの事案の発生が懸念されるとして、「不審な電話や訪問者には十分注意をしてください」と呼びかけている。
報道によると、警察庁はその後、SNSの投稿やメールから詐欺サイトへ誘導される危険にも触れ、投稿に添付された二次元コードを安易に読み取らないよう注意を促した。あわせて、支援を求めるアカウントが実在する団体のものか、文章に不自然な点がないかを確認するよう、チェックの視点も示している。不審に感じた場合は、最寄りの警察や警察相談専用電話「#9110」への相談が呼びかけられている。
SNSでは偽の救助要請や生成AIによる偽情報も
金銭を狙う詐欺だけでなく、SNS上では災害に便乗した偽情報の拡散も確認されている。報道によると、防災・危機管理サービスを手がけるスペクティは7月29日、今回の地震に関して複数のデマや誤情報、偽の救助要請、募金詐欺を確認したとして注意を呼びかけた。
同社によると、氏名以外はほぼ同一の文面で同じ住所を記載した偽の救助要請が、複数のアカウントから発信されたという。こうした投稿は、消防や警察の救助リソースを消耗させる影響の大きい行為だと指摘されている。また、被災者を装い、二次元コードを使って個人への送金を求める投稿も確認された。これらは公的機関や認定団体などの正規の募金窓口ではなかったとされる。さらに、生成AIの回答を根拠として、本物である可能性が高い現場の映像を「過去のものだ」と決めつけて拡散する動きもあったという。
災害時の「善意」と「情報」を守るために
便乗詐欺や偽情報は、大きな災害が起きるたびに繰り返されてきた。とりわけSNSでは、助けたいという善意からの拡散が、結果的にデマや偽の救助要請を広げてしまうことがある。「いいね」やリポストといった何気ない反応も、誤った情報を後押ししかねない。
被災地の内外を問わず、まずは公的機関などの一次情報(公式の発表や元情報)で事実を確認し、義援金は正規の窓口を通じて送ることが基本となる。二次元コードやリンクから安易に送金やアクセスをしないこと、身内や公的機関を装う不審な連絡には応じないことも重要だ。企業や組織においても、従業員が業務端末や私物端末で偽情報や詐欺に巻き込まれないよう、災害時に改めて注意を促すことが求められる。落ち着いて情報の出どころを確かめる姿勢が、被災地の救助リソースと自らの資産の双方を守ることにつながる。
