学校法人杏林学園でまたもサポート詐欺 教員PC経由で学生・教員ら約2,500名分の情報漏えいか

学校法人杏林学園(杏林大学)は、教員のパソコンがサポート詐欺の被害に遭い、学生や教員、学会員ら約2,500名分の個人情報が漏えいしたおそれがあると公表した。きっかけは、教員が自宅での業務中に誤って詐欺サイトをクリックしたことだった。同学園では2024年にも職員のパソコンが同種の被害を受けており、繰り返しの被害となった。現時点で情報の悪用などの被害は確認されていないとしている。

自宅での「うっかりクリック」が発端

杏林大学の公表によると、2026年6月26日、同大学の教員が自宅で業務中に誤って詐欺サイトをクリックしたことを契機に、外部からのリモートアクセス(遠隔操作)を許す事象が発生した。当該パソコンには、学生および教員、そしてこの教員が所属する学会の会員の氏名・住所などの個人情報、約2,500名分が保存されていたという。

大学は、関係する人々へ個別に連絡する準備を進めているとしており、すでに関連する行政機関への報告も完了している。今後は外部の調査機関によるフォレンジック調査(機器に残された記録を解析し、被害の状況や影響範囲を特定する調査)を行う予定だとしている。公表は2026年7月8日付で、二次被害などは現時点で確認されていないという。

再び発生した「サポート詐欺」被害

今回の事案が注目されるのは、杏林大学にとってサポート詐欺による情報漏えいのおそれが繰り返された点にある。同大学は2024年にも、職員のパソコンが業務中の詐欺サイトのクリックをきっかけに不正アクセスを受け、学生の成績情報や患者情報などが閲覧できる状態にあったと公表していた。当時の調査では、データが学外に持ち出された可能性は低いと結論づけられている。

前回は職員、今回は教員と、被害に遭った立場は異なるものの、いずれも「業務中に誤って詐欺サイトをクリックする」という同じきっかけから生じている。技術的な侵入というよりも、利用者の操作を起点に被害が生じている点が共通する。

そもそもサポート詐欺とは何か

サポート詐欺とは、パソコンの操作中に突然「ウイルスに感染しました」といった偽の警告画面を表示し、利用者の不安をあおって、画面に記された連絡先へ電話をかけさせる手口を指す。電話口では、サポート担当者を装った相手が遠隔操作ソフトの導入を促し、そのままパソコンを操作できる状態にしたうえで、金銭を要求したり、端末内の情報にアクセスしたりする。

システムの脆弱性を突く攻撃とは異なり、利用者の心理を突いて自らソフトを導入させる点に特徴がある。そのため、セキュリティ製品を導入していても、利用者が偽の警告を信じて操作してしまうと被害につながりやすい。今回の杏林大学の事案も、こうした人の判断を狙う手口の典型といえる。

教育機関で被害が繰り返される理由

同じ組織で同種の被害が続いた背景には、教育機関特有の事情も影響しているとみられる。大学には教員・職員・研究者・学生など立場の異なる多数の人がパソコンを利用しており、情報リテラシーにもばらつきが生じやすい。加えて、自宅など学外での業務では、組織のネットワークによる保護や監視が届きにくい面もある。今回の事案でも、教員が自宅で業務をしている最中に被害が発生している。

サポート詐欺のように利用者の操作を起点とする手口に対しては、機器やソフトによる対策だけでは防ぎきることが難しく、一人ひとりが偽の警告を見分け、慌てて連絡先に電話しないという行動が重要になる。杏林大学は再発防止策として、全教職員への情報セキュリティ教育のさらなる充実と、個人情報の取り扱いルールの徹底を進めるとしている。組織としては、偽警告に遭遇した際の相談・報告の窓口をあらかじめ周知し、被害を早期に食い止められる体制を整えておくことが求められる。

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