J:COMのインターネット接続が全国の一部で約9時間停止 原因は調査中、再発防止策の検討へ

暗いデータセンターの通路とサーバーラック

ケーブルテレビ最大手のJCOM株式会社で、2026年9月23日、インターネット接続サービスが全国の一部で利用できない、あるいは利用しづらい状態になる障害が発生した。障害は同日午前8時55分頃に発生し、午後6時頃に復旧した。全サービスの復旧確認は午後8時である。接続が不安定な状態は、およそ9時間にわたって続いたことになる。同社は原因を「調査中」としており、現時点で何が起きたのかは公表されていない。攻撃を受けたかどうかを含め、断定できる材料は出ていない。

午前8時55分に発生し、約9時間後に復旧

JCOMが同日午後7時30分時点で公表したニュースリリースによると、障害は午前8時55分頃から継続しており、影響エリアは「全国の一部」、原因は調査中とされていた。対象サービスについても「調査中」としたうえで、その時点で確認できている範囲を列挙する形をとっていた。復旧見通しの欄には「順次、復旧を確認しております」とだけ記されていた。

その約1時間後、午後8時30分時点のリリースで復旧が公表された。障害の発生した設備への対処・措置は完了しており、引き続き利用しづらい場合はJ:COM機器の再起動を試すよう案内している。同社は「原因の究明および再発防止策の検討を進めてまいります」としている。

障害の最中、同社はインターネットの代替手段として、携帯電話によるデータ通信や公衆フリーWi-Fiの利用を案内していた。自社の回線が復旧するまでの代替手段として、他社の通信サービスの利用を促したことになる。

止まったのは「インターネット」と「ログインが必要なもの」

公式発表で対象として挙げられたのは、次のサービスである。

  • 「J:COM NET」のインターネット接続(J:COM NET 光 on auひかりを除く)
  • 「J:COM TV」のテレビ双方向サービス、ネット動画配信サービスの利用
  • 「J:COM MOBILE」のインターネット接続
  • JCOMが取引するケーブルテレビ事業者向けのインターネットサービス等

加えて、同社の「お知らせ」ページでは、マイページ、MY J:COMアプリ、およびパーソナルIDでのログインが必要となる各種サービス全般が利用しづらい状況だったと説明されている。一方、テレビ放送サービスの視聴については、午後7時30分時点のリリースで「影響は確認されておりません」と明記されている。放送そのものには影響が確認されず、IP通信を使う機能に影響が出たかたちである。

もう一つ見落とせないのが、問い合わせ窓口の状態である。JCOMは復旧を告知したリリースおよびお知らせの中で、カスタマーセンターへの電話が大変つながりにくい状況が続いていると案内し、時間をあけて問い合わせるよう求めている。障害そのものが復旧したあとも、利用者が状況を確認する手段は混雑したままだった。

原因は公表されていない

現時点で公表されているのは「調査中」という一語だけである。設備障害なのか、設定変更に起因するものなのか、外部からの攻撃が関与しているのかは、いずれも明らかにされていない。報道でも原因は調査中と伝えられており、確定した情報は出ていない。

したがって、この事案を「サイバー攻撃による被害」として扱うことはできない。逆に「攻撃ではなかった」と言い切ることもできない。公表されているのは、いつから、どのサービスが、どれくらいの時間止まったのかという事実関係と、原因究明と再発防止策の検討を進めるという方針までである。

攻撃かどうかが分かる前に、確かめておけること

原因が分からない段階でも、企業の情報システム部門が自社に引き寄せて点検できることはいくつかある。

第一に、可用性の喪失は、原因が何であれ結果が同じだという点である。情報セキュリティは機密性・完全性・可用性の三つで語られるが、実際に業務を止めるのは可用性の喪失であり、それは攻撃でも設備故障でも変わらない。「うちは攻撃を受けていないから関係ない」という整理は、この種の事案では機能しない。

第二に、回線の単一依存である。今回影響を受けたのは個人向けサービスが中心だが、在宅勤務者の自宅回線が特定の事業者に偏っていれば、平日であれば相応の人数が同時に業務から切り離されていた可能性がある。事業所の回線だけでなく、テレワーク側の回線がどこに寄っているかを把握している組織は多くない。

第三に、認証基盤の影響範囲である。今回、パーソナルIDでのログインを必要とするサービスが広く使いづらくなったと説明されている。IDを一箇所に集約することは運用上の合理性が高い一方で、そこが止まったときに影響が及ぶ範囲も一緒に広がる。自社のシングルサインオンが止まったとき、どの業務が道連れになるのかを一度書き出しておく価値はある。

第四に、障害時の情報取得経路である。今回はカスタマーセンターに問い合わせが集中し、電話での確認が難しい状態が続いた。障害の連絡手段が一本しかないと、状況把握そのものができなくなる。自社が使うサービスについて、電話以外にステータスページや公式アカウントなど、どこを見れば一次情報が取れるのかを事前に決めておきたい。

最後に、社内説明の作法である。原因が公表されていない事案について、社内向けの共有で推測を確定情報のように書いてしまうと、あとで訂正が必要になる。確定している事実と、まだ分かっていないことを分けて書く。今回のように「調査中」と明記されている事案は、その練習にちょうどよい題材でもある。

同じ手口に、自社は備えられていますか?

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