静岡県の偽サイトが4か月で6件 県庁版に加え県警版も出現、狙いは個人情報とニセ警察詐欺か

静岡県をかたる偽のホームページが、2026年4月以降だけで6件確認されている。県は7月28日にも新たな偽アドレスを追加公表し、絶対にアクセスしないよう呼びかけている。さらに7月下旬には、県警の公式サイトに酷似した偽サイトも見つかった。こちらは氏名や生年月日、口座番号を入力させる画面を備えており、警察官を装って金をだまし取る「ニセ警察詐欺」への悪用が疑われている。自治体という、住民からの信頼が厚い看板が繰り返し悪用されている構図だ。

4月から7月まで、途切れずに増え続けた偽アドレス

静岡県が公式サイトで公表している偽アドレスの一覧は、発見日を追うと状況がよく分かる。最初の1件は4月2日。次が5月27日。そこから7月24日、7月27日に2件、そして7月28日と、7月下旬だけで4件が立て続けに見つかった。7月27日に2件を公表した翌日にもう1件を追加している格好で、短期間に相次いで偽サイトが確認・公表される事態となっていた。

いずれも `www.pref.shizuoka.jp` という正規のアドレスに似せた文字列だが、綴りの崩し方はまちまちだ。県名の一部を入れ替えたもの、余計な語を足したもの、トップレベルドメインを `.com` や `.top` に変えたものが混在している。県は、偽サイトを画面上で見分けることは困難であり、県のホームページ自体が改ざんされているわけではないと説明したうえで、偽アドレスの目的は不明としつつ、不正に個人情報を抜き取られる恐れがあるとしている。

県は、静岡県をかたるホームページを見つけた場合の連絡先として、広聴窓口のメールアドレスと電話番号(054-221-2233)を案内している。

県警版の偽サイトには、本物にない「申請フォーム」があった

より直接的に金銭被害へつながりかねないのが、7月24日に確認された静岡県警の偽サイトだ。報道によると、デザインや作りは公式サイトと酷似している一方、本物には存在しない「在宅捜査の申請」や「氏名番号 検索」といった項目が置かれていた。その申請欄をクリックすると、氏名、生年月日、住所、口座番号などを入力させる画面が表示されるという。

県警は、警察官を装って金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」の手口として作られた可能性があるとみて調べている。認知のきっかけは他県警からの情報提供で、7月24日にサーバーの運営会社へ削除を依頼した。同日午後6時の時点で被害は確認されていないと報じられている。

なりすましの対象が「県庁」から「県警」へ広がった意味は小さくない。行政サイトの偽物は、個人情報の収集を主な目的とするケースが多い。しかし警察を名乗るページは、電話でのニセ警察詐欺と組み合わせることで、「捜査の一環だ」という筋書きに現実味を与える小道具になる。口座番号の入力欄は、その筋書きの終着点に置かれている。

見分ける努力より、たどり着き方を変える

この事案が示す実務上のポイントは、「偽サイトを見破る目を鍛える」という対策が、もはやあまり有効でないという点にある。県自身が、画面上での判別は困難だと明言している。似せる技術のコストが下がった以上、見た目の違和感に頼る前提は成り立たなくなっている。

代わりに効くのは、アクセス経路の管理だ。行政機関のサイトには検索結果から入らず、ブックマークか、公式に案内されたURLから入る。組織であれば、業務で使う自治体・官公庁サイトを共有ブックマークとして配布しておくだけでも、検索結果に紛れ込んだ偽サイトを踏む確率は大きく下がる。ドメイン名を確認する習慣も、`.lg.jp` や `.go.jp` といった正規の割り当てを知っていて初めて機能する。

そして、警察に関する原則ははっきりしている。県警サイバー企画課の担当者は報道に対し、警察がインターネットを介して重要な個人情報を入力させたり取り調べを行ったりすることはないとして、不審に思ったら最寄りの警察署に相談してほしいと呼びかけている。捜査の名目で口座番号の入力を求めるページは、それだけで偽物と判断してよい。

自治体になりすます攻撃が「続く」ことを前提にする

静岡県のケースで注目すべきは、被害の大きさよりも継続性だ。1件が削除されればまた次が現れる、という循環が4か月にわたって止まっていない。ドメインの取得は安価で、正規サイトの複製も容易なため、攻撃側にとって使い捨ての量産が成り立ってしまう。同種のなりすましが他の自治体で起きても不思議はない。

企業の情報システム部門にとっては、自社ドメインによく似たURLを第三者が取得して悪用する手口(タイポスクワッティング)を定期的に監視する動機づけにもなる。静岡県が採ったように、確認できた偽アドレスを速やかに公表し、削除依頼を出し、利用者に注意喚起する——この3点の初動を、自組織が名乗られた場合の手順としてあらかじめ決めておく価値は高い。なりすまされる側は被害者だが、公表が遅れれば結果として利用者の被害を広げる立場にもなり得るからだ。

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