2025年9月29日にアサヒグループホールディングスが受けたサイバー攻撃の影響は、発生から1カ月以上経過した現在も深刻だ。
主にランサムウェア(データを暗号化し、復旧の見返りに金銭を要求する悪質なマルウェア)とみられるこの攻撃により、生産・出荷がほぼ停止。
主力商品のビールや清涼飲料だけでなく、サプリメントやベビーフード、自動販売機の飲料まで供給に支障が出ている。
企業側は専門家と連携した復旧作業を進めているが、完全復旧の目途は立っていない。
この事件は、単なる企業レベルのトラブルにとどまらず、社会全体に波及。
ネット上では、消費者、投資家、セキュリティ関係者らからさまざまな声が上がっている。
SNSをはじめとするプラットフォームでは、日常的な不便を嘆く投稿が目立ち、深刻な懸念からユーモアを交えたものまで、約100件以上の関連コメントが確認された。
以下に、主な反応をカテゴリ別にまとめる。
消費者側の声「日常の品薄と不安」
攻撃の影響で店頭やオンラインでの商品欠品が相次ぎ、子育て世代や健康志向のユーザーから切実な声が寄せられている。例えば、ベビーフードの供給不安を訴える母親の投稿は、共感を呼んでいる。
「ネットスーパーで和光堂(アサヒHD傘下のベビーフードメーカー)のベビーフードが一切消えてる…店舗には出してるみたいだけど、在庫数が安定しないんだろうな。サイバー攻撃の後いつもより多めにストックしてるけど使うからまた買い足しとかないと不安…いつ安定供給に戻るんだろう」。和光堂の商品はアサヒHDの食品事業部に属し、攻撃による物流停止が子育て支援にまで及んでいる実態を象徴する。
https://x.com/kyonnne/status/1985296805551329283
他にも「日常の供給不足に直面している」「イベント・飲み会に影響が出る」といった実感的な投稿が以下の通り多く見られる状況。
「近所の店でアサヒの在庫がガラガラ。飲み会どうしよう」(FNNプライムオンライン)
「スーパーでいつものビールが買えず代替を探した」(フィナンシャル・タイムズ)
「缶ビールの棚が空になっているのを見て不安になった」(FNNプライムオンライン)
ドラッグストアの棚に「アサヒグループがサイバー攻撃を受けた影響で一部の商品の入荷の目途が立っておりません」との張り紙が貼られていたという投稿
https://x.com/Fred__Kelly/status/1985689221747916883
「モンスターエナジーの白と青が店頭から消えてこっちかー😢と泣いている…緑飲めないんです…😭」
https://x.com/shela1999_/status/1984657483479298202
「アサヒグループが、サイバー攻撃を受けている自販機で販売中止になっていたようだ」
https://x.com/jgampam/status/1985598762476323009
中にはネットの特性上、深刻な事件でもユーモアが飛び交う事例も見受けられた。
「アサヒへサイバー攻撃した犯人、キリンだった まじかよ、キリン最低だな」という犯行声明(ロシア語で「キリン」を意味するハッカー集団Qilin)へのツッコミは、拡散されている。
https://x.com/ZanEngineer/status/1975727268896149678
別の投稿では「『アサヒ、サイバー攻撃で出荷停止』 グリコっちゃった」と、過去の企業スキャンダルを引き合いに出したブラックユーモアもみられた。
https://x.com/HighWiz/status/1972601974530212181
流通・小売店の悲鳴
食品や飲料の供給不安は、外食産業や小売店にも波及。居酒屋オーナーからは「アサヒがサイバーテロで出荷停止↓他社に注文が殺到する↓各社出荷制限がかかる↓大手より先に個人店から納品されなくなる↓欠品という流れでいいのかな? 次にビールがいつ来るか分かりません」と、業界の連鎖反応を分析した声。
https://x.com/kushiginzou/status/1976127517535740348
他の卸や飲食店の現場からは、仕入れの混乱や営業影響に関する切実な声が以下の通り出ている。
「いつも20ケース置いているが、今は在庫が“空っぽ”だ」。(FNNプライムオンライン酒販店店主の取材コメント)
「受注処理が止まりFAXや電話で対応しているが手間が増した」(フィナンシャル・タイムズ)
また、ギフトショップの投稿では「現在、アサヒグループへのサイバー攻撃の影響により、ビールギフト・カルピス・ウェルチ・アマノフーズなどの一部商品の入荷が不安定になっています。ご希望の商品がある方は、お早めにご相談ください」と、顧客への配慮を呼びかけるものも見られた。
https://x.com/giftplaza_oscar/status/1985121770568044615
投資家側の視点「株価下落、買い時のジレンマ」
投資関連の投稿では、攻撃の経済影響を冷静に分析するものが目立つ。
高配当株投資家からは「割安20%銘柄✨やっぱりアサヒグループHDが高配当投資家さんからの注目を集めている印象。サイバー攻撃の問題が未解決だけに、買いタイミングが難しいところ。年始来安値1,562.5円(1/8)まで、残り120円。もしここまで下げたら、利回り3.3%」と、株価の変動を注視する声。
「サイバー攻撃でダメージを受ける『アサヒグループHD』は買い?保留?売り?…『投資の資金よりも優先的にビールを買うことを惜しまない』私にとって、気になるアサヒグループHD。『アサヒグループを買い増すのは今じゃない』と」と、ユーモアを交えつつ慎重姿勢を示した。
https://x.com/Masa1009tw1/status/1984954328835387843
一方で、長期的な懸念も。
「アサヒグループホールディングスやアスクルはサイバー攻撃によって事業が停止して、再開の目処も立ってないように見えており、会社として存亡の危機に見えるのですが株価は下がらないですね。投資家は楽観的なんでしょうか」という指摘は、市場の「耐性」を疑問視するものだ。
https://x.com/2okutameo/status/1982022295741936116
サイバー保険の需要増を報じるニュースに対する反応では「サイバー保険の需要がこんなに増えてるんですね。アサヒグループやアスクルの被害を受けて、みんな危機感を持って保険を見直してるのかな。5%増は結構大きいし、これからもっと増えそうですね。サイバー攻撃のリスクって本当に無視できない時代になりましたね…」と、個人レベルのリスク意識の高まりを指摘している。
https://x.com/Pamdy_crypt/status/1985076612916789668
セキュリティへの懸念の声
ITやセキュリティ関係の投稿では、事件の構造的な問題を指摘するものが多かった。
「アサヒ、アスクル……なぜ、日本企業がランサムウェアの被害に遭っているのか」という記事共有に対し、「最近急激にサイバー攻撃増えてるな。アサヒのぐんぐんグルト飲みたいんだが…それはともかく、これは国家をあげて大至急対策しないとヤバいよ。パスポートの件もあったし、日本はカモネギだと確信されてるでしょ」と、国家レベルの危機感を訴える声。
https://x.com/KazooonCom/status/1985701249745129936
アスクルやアサヒも被害に遭った『ランサムウェア攻撃』、最近は個人の端末ではなく《”サーバーや開発者”を標的にする手口も》意識改革が必要」と、攻撃手法の進化を警告した。
https://x.com/foxbook/status/1985478349901201461
他にもセキュリティ分野の見解や業界内の分析は冷静かつ警鐘的だった。
多くは以下のように「サプライチェーンと基幹系システムの脆弱性」を指摘している。
「緻密な生産管理ほど被害が大きくなる傾向にある」(東洋経済オンライン、セキュリティ分析記事)
「海外拠点は影響が限定的だが、国内ERP停止は深刻」
note(https://note.com/ngc_shj/n/n1ac81978c5be)業界分析要旨。
企業内での対応も話題にになっており、「アサヒグループのサイバー攻撃事件のおかげでUTM(統一脅威管理。ネットワークのセキュリティを一元的に守る装置)めっちゃ売れるんじゃないか????」
https://x.com/taka_haiagari/status/1985341335994552401
…という皮肉めいた投稿や、「アサヒ社員、おわび行脚(取引先への謝罪訪問)…くだらない。
別にアサヒの社員が謝る事でもなくない? 文句は犯人捕まえて直接言えよ」と、社員の努力を擁護する意見もみられる。
https://x.com/Flandre_Remi495/status/1984962670756557276
復旧の長期化を嘆く声では「アサヒグループHD、システム障害1か月 居酒屋や子育てに影響 | NHKニュース…うちの会社の朝礼で、”アサヒやアスクルみたいに優秀なネットワーク管理者が沢山いるような会社でも復旧するのはこれだけ大変だから皆さんも気を付けてください”って連絡があったけど」と、社内教育の重要性を強調した。
https://x.com/NiceAge39/status/1985665134669525194
ネット上の反応は、単なる不満にとどまらず、日本企業のデジタル依存のリスクを浮き彫りにしているのかもしれない。
攻撃の犯行声明を出したQilin集団の関与が指摘される中、投稿者の多くは「国家レベルの対策」を求める声で一致。
消費者からは「早く解決して欲しいです」という切なる願いが、投資家からは「意識改革が必要」という提言が相次いでいる。
一連のコメントは、サイバー攻撃がもたらす「見えない被害」の実相を、身近な視点で語っているとも取れる。

