警察庁は、サイバー空間における脅威と情勢を極めて深刻として、注意喚起を実施している。
公表によると、情報窃取を企図した不正アクセスや標的型メール攻撃などのサイバー攻撃が増加しており、特にネットバンクの不正送金被害が過去最多となっているとされている。
クレジットカード不正利用被害額は、過去の同期比較で401.9億円になるとされており過去最高額となっている。
インターネットバンキングにおける不正送金被害は、5,578件の発生件数、被害総額約87.3億円といずれも過去最多を記録しているという。
また、ランサムウェア被害の件数が197件と高水準で推移している状況で、特にノーウェアランサムによる手口に警戒されている。
通常ランサムウェアはデータを暗号化して被害者から身代金を要求する手法を使うが、ノーウェアランサムはデータを暗号化せずに、単にデータを窃取したことを主張して被害者から身代金を要求するというもの。
警察庁では、2023年内で新たに30件確認されている。
警察庁は、深刻化するサイバー空間でのリスクに対し注意喚起と啓発活動を実施。
内閣サイバーセキュリティセンター(NISC)や米国連邦捜査局(FBI)などと連携し、中国を背景とするサイバー攻撃グループに関する注意喚起(パブリック・アトリビューション)を進めている。
また、有識者による「キャッシュレス社会の安全・安心の確保に関する検討会」を開催し、啓発活動や、サイバー特別捜査隊がEUROPOL(ユーロポール)などとの国際共同捜査を推進したランサムウェア攻撃グループの逮捕などの国際的な連携を行っている。
同時に、インターネットバンキングに係る不正送金やランサムウェア被害に対する技術対策が推進され、暗号資産交換業者への不正送金対策の強化や、セキュリティ技術の導入などが進んでいるとされている。
警察庁は、増加する不正送金被害やランサムウェア攻撃への対策方法として「メール内のリンクは安易にクリックしない」「公式アプリや公式サイトを利用」「DMARCをはじめとする、なりすましメール対策技術を導入」「利用状況通知サービスを活用する」「脆弱性対策として機器等にセキュリティパッチを適用する」「バックアップデータはオフラインで保管する」といった方法を推奨している。
【参考記事】
サイバー警察局便りVol.31「サイバー空間の脅威の情勢:極めて深刻」(注意喚起)