企業の情報システム部門にとって、サイバー攻撃の脅威が増大するなかで、エンドポイントの保護は重要課題の一つといえます。従来型のウイルス対策ソフトやファイアウォールだけでは、ゼロデイ攻撃や標的型ランサムウェアなどの高度な脅威に対応しきれないケースが増えてきました。そこで注目を集めているのがEDR(Endpoint Detection and Response)です。EDRは、エンドポイントでの挙動をリアルタイムに監視し、未知の脅威や異常をいち早く検知して封じ込めるだけでなく、インシデント発生後の分析や復旧支援にも強みを持ちます。この記事では、EDRの概要を整理しつつ、トップブランドとして知られるSentinelOne、Cybereason、CrowdStrikeの特徴を比較してみます。さらに、EDR導入によるリスク低減効果にも触れながら、そのメリットを網羅的に解説します。

主要EDR 比較表

本資料では、グローバルトップブランド
「SentinelOne」「Cybereason」「クラウドストライク」をはじめとしたEDR製品の機能比較についてまとめています。

これからEDR製品を導入・選定される方や、すでに導入済み製品との比較などに活用いただけます。
また、アクトでは「SentinelOne」を取り扱っていることから、機能面・費用面だけでなく、実際導入した場合における工数や緊急時の対応など技術目線でのご提案も可能です。お気軽にお問い合わせください。

EDR比較表


SentinelOne 特設サイト
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EDRとは

EDRはエンドポイントで発生するあらゆる挙動を詳細に収集し、脅威を検知・分析・封じ込めを行うセキュリティソリューションです。ウイルス対策ソフト(EPP)は主に既知のマルウェアをパターンファイルと照合して防御を行いますが、EDRはその枠を超え、マルウェアの振る舞いやシステム上の異常をリアルタイムでモニタリングすることで、未知の攻撃や標的型攻撃にも対処しやすいのが特徴です。また、EDRはインシデント発生後にもログや分析機能を活用して、被害範囲の特定や原因の追跡、迅速な復旧をサポートする点が大きな強みとなります。

✅EPPとの違いと選定のポイント

EPPとEDRは、いずれもエンドポイントセキュリティを担う製品カテゴリですが、EPPが主にシグネチャやルールベースの防御に焦点を当てているのに対し、EDRは攻撃の検知から対応までを包括的にカバーします。未知のマルウェアやゼロデイ攻撃など、従来手法では見落としがちな脅威にもEDRは対応可能です。ただし、導入には自社のセキュリティレベルや運用体制を踏まえ、アラート対応やインシデントレスポンスのフローをどのように組み込むかを検討する必要があります。つまり、ツールを導入するだけでなく、検知情報をどう活用するかという運用の視点が極めて重要です。

📚関連記事:EDRの仕組みとは?サイバーセキュリティにおける役割と必要性をわかりやすく解説

トップブランド製品3社の比較

SentinelOneの強みと活用シーン

SentinelOne

SentinelOneはエンドポイント上の振る舞いを常時監視し、AIによる自動解析を通じて脅威を検知・ブロックする能力に優れています。とりわけランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来型のシグネチャベース対策では検知が難しいケースでも、ファイル操作やネットワーク通信の異常を素早く捉えることで被害を最小化できます。独自のロールバック機能により、暗号化されたファイルを復旧できる点は大きな強みであり、復旧作業や業務停止リスクを大幅に削減できるでしょう。
さらに、クラウドベースの管理コンソールを用いることで、グローバル規模の企業や多拠点環境でも、導入やバージョン管理が簡易化されています。エージェントが軽量で端末への負荷が比較的少ないことから、セキュリティレベルを高めつつもユーザーの作業環境を大きく阻害しない運用が可能です。一方で、自動封じ込め機能が強力であるぶん、誤検知や自動反応の設定レベルには細心の注意が必要であり、導入段階で社内ポリシーと連携したルール設計を綿密に行うことが望まれます。

📚関連記事:SentinelOne EDRの導入メリットとは?その効果と特徴を徹底解説

Cybereasonの攻撃可視化とMalop技術

Cybereason

Cybereasonの最大の特徴は、独自技術「Malop(マロップ)」による攻撃可視化の仕組みです。一般的なEDRでは、マルウェア検知や不審なプロセスの発見が単発のイベントとして報告されることが多いですが、Cybereasonでは端末間の横展開や外部通信先、関連するユーザーアカウントなどを一元的に関連付け、時系列で「攻撃の物語」を可視化します。これにより、セキュリティ担当者はどの端末が侵入経路となり、どのファイルやレジストリを操作し、どのサーバーへ拡散しようとしているのかを俯瞰的に把握しやすくなります。
また、エージェントが比較的軽量で、ユーザーに負荷をかけにくい設計が採用されているため、業務端末への導入に抵抗が少ない点も利点です。操作画面のUIが直感的に分かりやすく、インシデント発生時には原因追跡だけでなく、該当端末のネットワーク隔離やマルウェアの削除といった対処アクションをシームレスに実行できる点は、限られたセキュリティ人材で運用する企業にとって大きなメリットとなるでしょう。導入にあたっては、SOC(Security Operation Center)との連携やインシデントレスポンス手順を明確に定め、Malopの解析結果をどのように社内チームへ共有し、具体的な防御策・再発防止策を立案するかといった運用設計がカギを握ります。

CrowdStrikeのクラウド型プラットフォームと脅威ハンティング

crowdstrike

CrowdStrikeのFalconプラットフォームは、クラウドを主体としたアーキテクチャを採用しており、エージェントが収集した膨大なイベント情報をクラウド側で解析し、グローバルな脅威インテリジェンスと組み合わせることで高度な検知精度を実現しています。エンドポイント数が数千台、数万台に及ぶような大企業や拠点が多岐にわたるグローバル企業でも、スケーラビリティが高く、集中管理しやすい点が評価されています。
また、CrowdStrikeは脅威ハンティング機能が充実しており、セキュリティチームが積極的にログやメタデータを検索して怪しい振る舞いを発見する「Threat Hunting」を支援します。高度なAPT(Advanced Persistent Threat)が組織内に潜伏しているケースや、一見無害に見える通信の背後で攻撃準備が進んでいる状況を早期に察知し、適切な対策を打つことが可能です。ただし、クラウド基盤のメリットを最大化するには、ネットワーク帯域や海外拠点との接続状況を考慮し、インターネット回線が脆弱な地域でも安定してログ収集が行える環境づくりが必要となるでしょう。利用開始までのセットアップや管理コンソールのカスタマイズには、専門知識やトレーニングが求められる場合がありますが、その分大規模企業やセキュリティレベルの高い組織での運用実績が豊富なことも強みといえます。

EDR導入により低減できるリスク

ゼロデイ攻撃や標的型ランサムウェアへの対処

多くの企業が恐れるのは、既存のシグネチャでは検知できない未知のマルウェアや、特定企業を狙う標的型のランサムウェア攻撃です。こうした脅威は、EPPが得意とするシグネチャベースの検知を回避してくるため、事前対策だけでは不十分なケースが多々あります。EDRを導入すると、ファイルレスマルウェアがWindowsの正規コマンドを使って侵入を試みる状況や、OSレベルで怪しいプロセスが連動して動く不自然な挙動をリアルタイムに捉えられます。結果として、ゼロデイや標的型ランサムウェアの拡散を初動段階で阻止でき、システム全体が麻痺するような最悪の事態を回避しやすくなるのです。

インシデント発生時の被害拡大防止と迅速な復旧

いかに厳重なセキュリティ対策を施していても、サイバー攻撃を完全には防げないリスクがあります。EDRが有効なのは、万が一攻撃が成功してしまった場合にも、被害を最小限に抑えるためのログ取得と分析、そして対応策の実行を一元管理できる点にあります。どの端末が最初の感染源となり、どのサーバーやファイルを狙ったか、メールの添付から始まったのか、それともリモートアクセス経由なのか、といった経緯を詳細に追えるため、封じ込めに必要な手順を的確に判断できます。
また、いずれのEDR製品も外部連携機能を備えているため、SOCやSIEM(Security Information and Event Management)と連携し、インシデントレスポンス全体を自動化・効率化できる可能性があります。ランサムウェアなどによる暗号化被害が発生しても、SentinelOneが提供するようなロールバック機能を活用することで、業務に欠かせないファイルを瞬時に復旧でき、復旧作業や身代金交渉のための時間を大幅に削減できます。企業としては、こうした復旧力の高さが最終的な損害を左右するため、EDR導入の価値が極めて大きいといえるでしょう。

情報漏えいによる信用失墜や法令違反リスクの低減

企業の持つデータは、顧客情報や取引情報、技術ノウハウなど多種多様であり、万が一漏えいが起きれば深刻な信用失墜や法的リスクに直面します。EDRの導入によって、疑わしいプロセスや情報収集の動きがあれば即座に検知・封じ込めできる仕組みを整えられるため、攻撃者が大規模な情報を吸い上げる前に対処できる可能性が高まります。特に標的型攻撃では、長期間にわたり組織内部に潜伏してデータを取得するケースもあるため、早期発見と対処が情報漏えいを防ぐ決定的な要素となるのです。
また、近年では個人情報保護法やGDPRなど、各種コンプライアンス要件が強化されており、インシデントが発生した場合の報告義務や罰則が厳格化されています。EDRはインシデント対応のロギングや根拠提示に役立ち、適切に報告・説明ができる体制づくりをサポートしてくれます。結果として、法的リスクを最小化し、万が一の事態でも迅速かつ誠実に対応できる体制を作り上げることが可能となるでしょう。

最後に

EDRはエンドポイントでの振る舞いを詳細に監視し、未知の攻撃や複雑化するサイバー脅威に対して包括的な防御を実現するソリューションです。SentinelOneがAIによる自動封じ込めとロールバック機能を強みとし、CybereasonがMalopによる可視化で攻撃の全容を把握しやすく、CrowdStrikeがクラウド型プラットフォームと脅威ハンティングで大規模運用に優れるなど、各製品はそれぞれ得意分野と特徴を持っています。いずれも従来のウイルス対策では難しかったゼロデイ攻撃や標的型ランサムウェアへの対処能力を高めるうえで大きな効果が期待できるため、企業の情報システム部門としては自社のセキュリティ要件や運用リソースを踏まえ、適切なEDRを導入することが望ましいでしょう。そうすることで、未知の脅威に対する早期検知とリアルタイム封じ込め、そして万が一のインシデント発生時における迅速な原因分析と復旧が可能になり、企業全体のセキュリティ水準を飛躍的に高めることにつながるはずです。

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