WordPressは世界中で圧倒的なシェアを誇るCMSとして、企業サイトから個人ブログまで幅広く利用されています。しかし、その利便性と普及度の高さがゆえに、サイバー攻撃の標的となりやすいことも事実です。企業の情報システム部門にとっては、WordPressの脆弱性を正しく理解し、適切なセキュリティ対策を講じることが急務となっています。本記事では、WordPressが狙われやすい理由や潜む脆弱性、そして攻撃手法やリスク、それらに対抗するための具体的なセキュリティ強化策を総合的に解説します。
WordPressが狙われやすい理由
圧倒的なシェアによる攻撃対象の増大
WordPressが世界的に普及している最大の理由は、豊富なプラグインやテーマを使って多機能・多様なサイトを構築できる利点にあります。しかし同時に、これだけ多くのサイトがWordPressで運営されているという事実は、攻撃者にとっても「攻撃の成功率が高いプラットフォーム」として魅力的に映ります。さらに、運用者側がコアのアップデートやプラグインの管理を怠ると、古いバージョンに残された脆弱性が未修正のまま放置されるため、攻撃の的となりやすいのです。
豊富なプラグイン・テーマと管理不足
WordPressの強みでもあるプラグインやテーマの豊富さは、利便性を高める一方で、セキュリティを疎かにしがちなリスクを孕んでいます。開発元のメンテナンスがすでに停止しているプラグインを使用し続けたり、テーマのアップデートを怠ったりすることで、サイト全体の脆弱性が増大してしまうのです。とりわけ、無料のプラグインやテーマを安易に導入すると、不正コードが仕込まれたものに当たる可能性も否定できません。
WordPressに潜む脆弱性の概要
●コア(本体)部分の脆弱性
WordPress自体が持つ機能や設計に由来する脆弱性としては、SQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)などが代表的に挙げられます。特に長期間にわたってアップデートを適用していない場合、既に公開されている脆弱性情報をもとに攻撃を受ける危険性が高まります。また、WordPressコアを改変して独自カスタマイズしているケースでは、アップデートの適用が難しくなり、セキュリティホールを放置するリスクが生じやすいのです。
●プラグイン・テーマ由来のリスク
WordPressサイトの多くが、プラグインやテーマを利用してデザインや機能を拡張しています。しかし、これらの開発元が必ずしもセキュリティに精通しているわけではないため、脆弱なコードやバックドアが仕込まれたままリリースされるケースもあります。さらに、プラグインの更新が終了しているのにサイト上では使い続けていたり、複数のプラグインが競合して想定外の挙動を引き起こしていたりする状況も少なくありません。
主な攻撃手法とリスク
🔴ブルートフォース・リスト型攻撃
WordPress管理画面へのログインフォームを狙って、大量のIDとパスワードを試すのがブルートフォース攻撃です。パスワードの使い回しや短く単純なパスワードを設定していると、容易に突破されてしまいます。また、漏えいした認証情報リストを用いるリスト型攻撃の手法も、WordPressサイトへの不正ログインに多用されています。これらの手法が成功すると、攻撃者は管理者権限を握ってサイトを自在に改ざんできるようになり、データ盗難やマルウェア配布など深刻な被害に発展します。
🔴マルウェア注入や改ざん
一度WordPressサイトへの不正アクセスが成功すると、攻撃者はサーバー上のファイルを改変してマルウェアを注入し、訪問者にウイルスをばらまく拠点に仕立て上げることが可能です。さらに、検索エンジンの評価も低下し、検索結果からサイトが除外されるリスクが高まります。結果的に訪問者とのトラブルが増え、企業のブランドイメージや信用を大きく損ねる恐れがあります。
WordPressのセキュリティ強化策
🟢定期的な更新とバックアップ
WordPressコアやプラグイン、テーマは、常に最新のバージョンを保つように意識しなければなりません。開発元が提供する更新情報をフォローし、セキュリティ修正のリリースがあれば迅速に適用することが重要です。また、万が一攻撃を受けた場合でも、バックアップがあれば復旧に要する時間とコストを大幅に削減できます。バックアップはサイト全体とデータベースの両方を定期的に取得し、保管場所もオフラインや別のサーバーに確保することが望ましいでしょう。
🟢管理者画面の保護とWAFの導入
WordPress管理画面への不正アクセスを防ぐためには、ログインURLを変更するなどの基本的な対応に加え、IPアドレス制限や二要素認証の導入が有効です。さらに、Webアプリケーションファイアウォール(WAF)を設置することで、不審な通信や攻撃パターンをフィルタリングし、サーバーへの悪意あるリクエストを遮断できます。管理画面を常時公開のままにするのではなく、必要なときだけアクセスできるよう制限をかけるなど、運用ルールの見直しも必要です。
🟢プラグイン選定と脆弱性診断
プラグインを導入する際は、開発元の信頼性や更新頻度、ユーザーコミュニティからの評価などを慎重にチェックすることが求められます。また、サイト全体に対して定期的に脆弱性診断を実施し、WordPress本体やプラグイン、テーマに潜む問題を早期に発見して修正することが大切です。セキュリティプラグインの活用も有効であり、ログイン試行回数の制限やファイル改ざんの監視機能などを組み合わせて多層的な防御体制を整えましょう。
さいごに
WordPressは利便性が高く、ビジネスサイトの構築にも適したCMSですが、その普及度の高さからサイバー攻撃のターゲットになりやすい側面があります。古いバージョンの放置やプラグイン管理の不備によって脆弱性を放置すれば、不正アクセスやマルウェア注入、サイト改ざんといった被害が発生するリスクが飛躍的に高まるのです。
これを回避するためには、常に最新バージョンのWordPressとプラグインを維持し、バックアップを習慣づけるとともに、WAFの導入やアクセス制限、脆弱性診断などの多層的な防御策を講じることが不可欠です。企業の情報システム部門としては、こうした対策を積極的に導入し、運用ルールやセキュリティポリシーを徹底させることで、WordPressサイトの安全性を高め、企業の信頼とブランド価値を守っていく必要があります。
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✅未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入
サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。
✅セキュリティについて従業員教育を行う
サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。
✅セキュリティ対策のガイドラインを策定する
効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。
また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。
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