企業がSNSを活用することは、サービスやブランドを広く発信し、ユーザーとのコミュニケーションを密にするうえで大きなメリットをもたらします。しかし、SNSアカウントを一歩誤って運用すると、不正アクセスや情報漏えい、企業ブランドの毀損といったリスクが現実のものとなる可能性があります。企業の情報システム部門に所属する方やSNSの運営担当者は、サイバー攻撃のリスクを正しく把握し、適切な対策を講じる必要があります。本記事では、企業SNSアカウントに潜む代表的なセキュリティリスクと、安全に運用するためのポイントについて詳しく解説します。
企業SNSアカウントに潜むセキュリティリスク
アカウント乗っ取り・不正アクセスの危険性
企業SNSアカウントが第三者によって乗っ取られると、公式アカウントの名義で不正な投稿が行われ、企業のイメージを損なう事態に発展しかねません。特に、パスワードが弱いまま放置されていたり、使い回しのアカウント情報が流出したりすると、ハッキングによるアカウント侵害が加速しやすくなります。こうしたアカウント乗っ取りの被害を受けると、情報漏えいだけでなく、フォロワーや顧客への誤情報拡散というリスクも高まるため、対処の遅れは大きな損失につながります。
フィッシングやマルウェア拡散
SNSは不特定多数のユーザーとつながる性質上、フィッシング詐欺やマルウェアの拡散経路になりやすい特徴があります。たとえば、企業公式アカウントを騙るアカウントや、公式アカウントに見せかけたDMを利用して悪意あるリンクをクリックさせるケースが多発しています。最悪の場合、企業アカウントの運営者自身がこうした偽メッセージを開いてしまい、マルウェア感染を招くリスクも否定できません。フィッシングやマルウェアは一度感染が広がると、社内ネットワーク全体への影響が深刻化する可能性があります。
SNS運営ルールの曖昧さによる内部不正
SNSアカウントの管理や投稿ルールが明確になっていない場合、投稿担当者のミスや内部不正が起こりやすくなります。複数の担当者が同じアカウントを共有しているにもかかわらず、投稿スケジュールや内容チェックのフローが定まっていない企業も少なくありません。さらに、退職した社員やアルバイトがアクセス権を持ったままの場合、故意にアカウント情報を改ざんしたり、不適切な投稿を行ったりするリスクも排除できません。
SNSプラットフォーム固有の脆弱性
TwitterやFacebook、Instagramなど、SNSプラットフォーム側にも脆弱性が存在する可能性があります。たとえば、APIの不正利用によって勝手に投稿されたり、バグを突かれてデータを抜き取られたりする事例がこれまでも報告されています。企業アカウントがこうした脆弱性を利用した攻撃の被害を受けると、事前対策では防ぎきれない不正アクセスや情報漏えいが発生するリスクが生じます。外部連携アプリケーションとの連動によって情報が流出するケースもあるため、SNSを利用する際にはプラットフォーム固有のリスクを理解しておくことが欠かせません。
安全に企業SNSアカウントを運用するためのポイント
✅パスワード管理と多要素認証
アカウントを乗っ取られる原因としてもっとも多いのが、パスワードの使い回しや推測されやすい文字列を利用しているケースです。パスワードは定期的に変更し、英数字・記号を組み合わせた強固なものを選ぶことが基本となります。さらに、多要素認証(MFA)の導入により、パスワード以外にもSMSやアプリを使ったワンタイムパスワードを利用することで、不正ログインを大幅に防止できます。
✅アクセス権限と運用ルールの明確化
企業SNSの運営では、投稿の承認プロセスやアクセス権限の設定が重要です。誰が投稿内容を決定し、誰が承認し、誰が最終的に公開ボタンを押すのか、役割分担を明確にすると人的ミスを減らせます。緊急時に想定外の投稿があった場合に備えて、アカウントの停止や再ログインを迅速に行える運用ルールや復旧マニュアルを整備しておくことも効果的です。
✅フィッシング対策と注意喚起
運営担当者だけでなく、SNSアカウントにアクセス可能な従業員全員が、フィッシング詐欺の手口を理解しておく必要があります。普段とは異なるURLをクリックしない、疑わしいDMやメールが届いたら相談するなど、基本的なリテラシーを浸透させることが大切です。定期的な研修やセキュリティトレーニングを実施し、最新の詐欺手口に関する情報を共有することで、企業全体の防御力を高められます。
✅SNSプラットフォームのセキュリティ設定活用
SNSによっては、ログイン通知やアクセス状況の履歴確認、外部アプリケーションへの連携許可を細かく制御できる機能が用意されています。これらの設定項目を積極的に活用し、普段と異なる端末からのログインがあった際にアラートを受け取れるようにすると、不正アクセスをいち早く察知できます。さらに、不要になった連携アプリは権限を取り消すなど、定期的に見直しを行うことで、想定外のデータ流出リスクを抑えられます。
✅定期的な監査とログの確認
SNSアカウントを安全に運用し続けるためには、定期的な監査が欠かせません。運用ルールが実際に守られているか、アカウントへのアクセス履歴や投稿内容に不審な点がないかをチェックし、問題が見つかった場合はすぐに対処する仕組みを整える必要があります。社内でのレビューや第三者機関による監査を組み合わせることで、万が一の異常を見逃すリスクを最小限にできます。
さいごに
企業SNSアカウントは、情報発信やブランド育成のための強力な手段である一方で、不正アクセスやフィッシング詐欺、内部不正など多面的なリスクが潜んでいます。特にアカウント乗っ取りが発生すると、企業の信用失墜や顧客離れにつながりかねないため、日頃からパスワード管理や多要素認証の導入、投稿フローや運用ルールの明確化など、基本的な対策を確実に実施することが重要です。
SNSプラットフォーム側のセキュリティ設定や外部連携アプリの制限を適切に行い、定期的な監査やログ確認を通じて運用状況を見直すことで、リスクを最小限に抑えながら企業SNSアカウントを効果的に運用できます。
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✅未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入
サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。
✅セキュリティについて従業員教育を行う
サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。
✅セキュリティ対策のガイドラインを策定する
効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。
また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。
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