岩手県が事業者に委託して実施している「物価高騰対策賃上げ支援事業」を巡り、委託先が運営していた内部向けポータルサイトが外部から閲覧可能な状態となっていたという。
これにより個人情報が流出した可能性がある。
同事業は、物価高騰の影響を受ける事業者の賃上げを支援するため、岩手県が実施している委託事業で、事務局業務は東武トップツアーズ株式会社、株式会社テレビ岩手、株式会社岩手日報広告社、manordaいわて株式会社の4社で構成される事業体が担っている。
県の説明によると、問題となったポータルサイトは、事務局内での情報共有を目的に設置されたもので、2025年2月の事務局設置以降、約9か月にわたり外部からアクセス可能な状態が続いていた。
2025年11月28日、県内自治体の職員が関連情報を検索した際に当該サイトへ接続でき、事務局が保有する資料を閲覧できる状況にあることを発見。
県側が確認し、事務局へ照会したところ、Googleなどの検索エンジンでは表示されないものの、Microsoftが提供する検索エンジン「Bing」で検索すると検出される状態となっていた。
外部から閲覧可能だった資料は、初動調査の段階で16件確認されている。
内容には、事務局員の氏名や職名が記載されたシフト表、業務日報、事業者名や担当者氏名、電話番号を含む問い合わせ対応記録や架電リスト、申請書送付依頼リスト、進捗管理表などが含まれていた。
これらの情報は「物価高騰対策賃上げ支援金」に申請した事業者に関する情報で、ポータルサイト内には5,707件分の事業者データが保管されていたという。
発生原因については、受託事業体を構成する4社のセキュリティレベルに差があり、当初は幹事社の担当者がポータルサイトへアクセスできない状態だったため、利便性を優先してIDやパスワードを不要とする設定に変更した結果、外部からも閲覧可能になったと説明している。
事務局は連絡を受けた当日中に、ポータルサイトを閉鎖。
県は、現時点で確認されている以外の情報流出の有無についても引き続き調査を進めている。
なお、公表時点で二次被害は確認されていないとし、今後も状況を注視する姿勢を示している。
県は、支援金の申請を行った事業者や関係者、県民に対して謝罪。
委託事業者に対し個人情報の厳格な管理を徹底するよう強く指導し、内部での情報共有体制においても高いセキュリティレベルを確保することで再発防止を図るとしている。
自身の情報が流出対象に含まれているか確認したい場合は、物価高騰対策賃上げ支援事業事務局で問い合わせを受け付けている。
【参考記事】
https://www.pref.iwate.jp/sangyoukoyou/koyouroudou/roudou/index.html

