11月上旬、米半導体大手「インテル」社は、元ソフトウェアエンジニア「Jinfeng Luo氏(金峰・羅氏、中国系アメリカ人)」を相手取り、カリフォルニア州の裁判所に訴訟を起こした。
Luo氏が解雇を通告された直前に、社内の極秘ファイルを大量に持ち出した疑いが持たれている。
訴状によると、Luo氏は2014年からインテル社で電子設計自動化(EDA、半導体チップの設計を効率化するソフトウェアツール)関連のエンジニアとして勤務。
2025年7月、インテル社が全従業員の約15%を削減する大規模リストラの一環で解雇を言い渡された。
雇用終了は同31日だったが、その数日前の7月28日から30日にかけ、Luo氏はネットワーク経由のストレージ機器(NAS、家庭やオフィスでデータを共有・保存する装置)を使って約1万8000件の社内ファイルをダウンロードしたという。
これらのファイルには「Top Secret」(インテル社内の最高機密レベル)と表示されたものも含まれ、半導体設計の重要なデータが含まれている可能性が高い。
インテル社はこの行為を検知後、電話やメール、書簡でLuo氏に連絡を試みたが、シアトル在住の同氏は一切応答せず、ファイルを返却していない。
会社側は貿易秘密(企業が競争力の源とする非公開情報)の流出を防ぐため、25万米ドル(約3800万円)以上の損害賠償と、Luo氏の個人パソコンなどのデジタル機器を専門家が調べるフォレンジック検査(デジタル証拠の科学的な解析)を求めている。
この事件は、インテル社がAIチップ市場で競合他社に遅れを取っているタイミングで発覚した。
2025年の人員削減が、社員の不満やセキュリティリスクを高めたとの見方も出ている。
発表直後、インテル株は一時2%以上下落した。
業界関係者からは「解雇時のデータ管理が甘かったのでは」との指摘が相次ぎ、半導体業界全体で社員による情報持ち出しへの警戒が強まっている。
裁判の今後の展開が注目される。
【参考記事】
https://www.oregonlive.com/silicon-forest/2025/11/intel-says-software-engineer-took-top-secret-documents-after-getting-fired.html
https://www.pcmag.com/news/ex-intel-employee-allegedly-stole-18000-confidential-files-before-leaving

