韓国の大手通信「KT」サイバー攻撃被害 被害はすでに約2万2,000名に

2025年10月、韓国の大手通信事業者KT(ケイティー、正式名称:KT Corporation)がサイバー攻撃を受け、携帯電話の小額決済サービスを悪用した不正利用が相次いで発生している。
KTは韓国国内で約2,000万人の契約者を持つ通信最大手であり、今回の事案は通信インフラに関わる深刻なセキュリティ問題とされている。

KTによると、第三者が不正に設置したとみられる小型の通信基地局「フェムトセル(Femtocell:通信電波を中継する小規模基地局)」を経由して、KTネットワーク内に侵入。
契約者の通信情報を不正取得した可能性があるという。
この通信経路を利用して、スマートフォンの「小額決済サービス(通信料金と合算して決済できる仕組み)」が不正に実行され、被害者はすでに約2万2,000名に上っているとみられている。
KTは「不正に使用された金額は全額補償する」と発表しており、利用者に対しては明細の確認と不審な取引があった場合の早期通報を呼びかける。

Korea Times、JoongAng Daily、Maeil Business Newsなど、韓国の複数メディアによれば、不正基地局は首都ソウルや京畿(キョンギ)地域などで20か所以上見つかっており、被害の範囲は広がっていると報道されている状況。
専門家によると、今回の攻撃は通信事業者のネットワーク構造を熟知した者による高度な犯行である可能性が高いとの声が上がっている。
また、韓国政府の科学技術情報通信部(日本の総務省に相当)も、今回の事案を重大な通信セキュリティ事故として位置づけてKTに対し再発防止策の提出を要求。
SNS上では「突然、利用明細に身に覚えのない決済があった」「通信会社なのに自社のネットワークを守れないのか」といった不安や批判の声も多く上がっている。

被害の全容はまだ判明しておらず、韓国国内では「通信事業者のセキュリティ対策を見直すきっかけになる事件」として注目が集まっている。
韓国ではここ数年、スマートフォンを利用した小額決済サービスの普及が進む一方で、セキュリティ対策が十分でない利用者を狙った不正利用が増加傾向にある。

【参考記事】
https://www.koreatimes.co.kr/business/tech-science/20251017/kts-data-leak-impact-grows-full-extent-still-unclear
https://koreajoongangdaily.joins.com/news/2025-10-17/national/socialAffairs/Number-of-victims-of-KT-data-breach-far-larger-than-first-reported-says-telecom-giant/2422756

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