【アサヒHD、サイバー攻撃】最新情報　ハッカー集団の関与、国内の影響など

2025年9月下旬、ビール・清涼飲料メーカー「アサヒグループホールディングス」で、発生したランサムウェアによるサイバー攻撃被害が発生。
国内の業務システムに深刻な障害が発生している。
この攻撃により、国内グループ各社の受注・出荷業務やコールセンター業務が一時停止し、顧客や取引先に大きな影響が出ている。
海外報道によると、サイバー犯罪集団「Qilin（キリン）」が攻撃への関与も示唆されている。

広がる被害と状況進捗

同社は9月29日にサイバー攻撃を確認し、即座に緊急事態対策本部を設置。
調査の結果、ランサムウェアによる不正アクセスが原因で、国内のサーバーが被害を受けていた。
当初、個人情報や顧客データの流出は確認されていなかったが、10月8日時点でインターネット上に流出した疑いのあるデータが発見された。
情報流出の可能性を示す痕跡も確認されており、流出データの内容や範囲の特定が進められている状況だという。
なお、海外のシステムへの影響は現時点で確認されていないという。
当該攻撃の影響で「国内グループ各社の受注・出荷業務」「お客様相談室などのコールセンター業務」「社外との電子メールの一部機能」などが停止する状況に陥っている。
また、被害拡大を防ぐため、影響を受けたシステムを遮断した結果、社外からのメール受信ができない状態が続いているという。

ハッカー集団「Qilin」の関与

今回の攻撃では、Bloomberg、Reuters、CNN、NHKなどの海外メディアがサイバー犯罪集団「Qilin（キリン）」の関与を報じている。
Qilinは、製造業や医療機関、行政機関などを標的にしたランサムウェア攻撃で知られ、データを暗号化して身代金を要求するだけでなく、流出データを公開すると脅す「二重恐喝」の手口を用いるケースが増えている。
ロシア語を話すメンバーによる運営が疑われており、企業や医療機関、政府機関などを標的に、データ流出や業務停止を引き起こしており、Qilinによるサイバー攻撃による被害総額は、数億ドル規模に上ると推定されているという。
今回の攻撃についての関与は明確にアサヒグループから開示されているわけではなく推測の域を出ていない。
一方で、Qilinは2025年10月7日頃、自らの犯罪サイト（ダークウェブ上で運営される、盗んだデータを公開・脅迫に用いるページ）で、アサヒHDの攻撃への責任を公表しており、約27ギガバイト相当のデータを盗んだと主張。
内部文書や従業員の個人情報である 財務記録、契約書、社員IDカード画像など含む29件のサンプル画像を公開している。
これにより、アサヒHDの受注・出荷停止などのシステム障害がQilinによるランサムウェアによる可能性が高いとみられている。

アサヒHDの対応

勝木敦志社長は、「このたびのシステム障害により、関係者の皆様にご迷惑をおかけし、深くお詫び申し上げます。情報流出の可能性については調査を継続し、一刻も早い復旧と商品供給の安定化を目指します」と謝罪。
消費者への商品供給を最優先に、手作業による代替手段で対応している。
情報流出の防止とシステム復旧を最優先に掲げ、外部専門家と協力して対応を進めている。
同社は商品供給を最優先とし、手作業による受注対応を開始。
順次出荷を再開している。
10月9日時点での復旧作業状況として、以下のとおり報告されている。

また顧客対応についても、コールセンターの電話受付を順次開始する予定で、消費者や取引先は、公式発表を注視して不審な連絡やメールに注意も呼び掛けている。
なお現時点でシステムの完全復旧時期は未定だが、2025年12月期の業績への影響は現在精査中とされている。
今後は情報流出の影響が確認された場合、速やかに公表する方針を示した。

【参考記事】
https://www.asahigroup-holdings.com/newsroom/
https://www.reuters.com/world/asia-pacific/cybercriminals-claim-hack-japans-asahi-group-2025-10-07/
https://apnews.com/article/asahi-japan-cyberattacks-ransomware-beer-supplies-e8854524dcd02eee4aa9e3d65464d019