AIで41%の学校、セキュリティリスク経験していた 生徒は有害コンテンツも【セキュリティ調査】

2025年10月2日、セキュリティソリューションを提供する「Keeper Security APAC」社が、教育分野におけるAI導入とサイバーリスクを分析した「学校におけるAI:導入とリスクのバランス」と題するレポートを発表した。
同調査は、米国と英国の初等・中等・高等教育機関の教育管理者1,460名を対象に実施されたもので、AIの教育活用が急速に進む一方、サイバー脅威への備えが追いついていない現状がわかったという。

調査によると、41%の学校がAIに関連するサイバーインシデント(セキュリティリスク)を経験しており、ディープフェイク(AIが生成する偽映像や音声)やAIを悪用したフィッシング詐欺、偽情報拡散などが確認されたという。
また、約30%の学校では生徒がAIを用いた有害コンテンツを作成した事例が報告されている。
AIツールの利用については、生徒の86%、教職員の91%が何らかの形で利用を許可されているものの、多くの学校では正式な規則を整備せず、ガイドラインのみで運用している状況だという。
生徒は主に調べ学習やアイデア出しなどの探究活動でAIを使用している一方、教職員は授業準備や採点など業務効率化に積極的に活用している。

しかし、AI関連のサイバーリスクに対する教育現場の対応は十分とは言えず、詳細なセキュリティポリシーを策定している学校は約半数(51%)、専用予算を持つのは34%、インシデント対応計画を備えるのは37%にとどまっていた。
教育リーダーの9割がAIをめぐるサイバー脅威に不安を抱く一方、AIを活用した攻撃を「見抜ける自信が高い」と答えたのはわずか25%とのこと。

Keeper SecurityのCEOは「AIは教育の未来を再定義する革新の力を持っていますが、セキュリティを伴わない技術導入は持続可能ではありません。学校はゼロトラスト・ゼロ知識のアプローチを取り入れ、学習環境への信頼を確立する必要があります」とコメント。
同社広報担当は「サイバーセキュリティはもはや裏方の業務ではなく、教育者と生徒を守る中核的な要素です。AI導入初期の判断が、未来の教育と社会全体の信頼性を左右します」と強調した。

AIが教育を支える一方で、セキュリティの確保が喫緊の課題として浮上している。
技術革新の恩恵を最大限に生かすためには、教育現場におけるセキュリティ体制の整備と人材教育が今後ますます求められそうだ。

【参考記事】
https://www.keepersecurity.com/ja_JP/

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