中小企業がサイバー攻撃の標的となる現代において、本記事ではサイバー攻撃の様々な種類と実際にあった被害事例、それに対抗するための具体的な対策に焦点を当てて解説します。本記事が皆様のお役に立てますと幸いです。

▮大企業だけではない?中小企業もサイバー攻撃の標的に

近年、中小企業もますますサイバー攻撃の標的になっています。これまで大企業が主な狙い手であったサイバー犯罪者たちは、中小企業に注目し、様々な手法で攻撃を仕掛けてきています。中小企業の情シス担当者は、サイバー攻撃の脅威とその対策について理解し、セキュリティツールの導入を検討する必要があります。

▮サイバー攻撃とは

サイバー攻撃は、インターネットやネットワークを介してコンピューターシステムに悪意ある行動を行う広範な攻撃手法の総称です。

これらの攻撃は、組織や個人のデータ・機密情報・システムへの侵入・破壊・操作を意味し組織や個人に甚大な損害をもたらします。 サイバー攻撃は、国家や組織、個人によって実行され、その目的は多岐にわたります。金銭的な利益、データの窃取、競争相手への妨害、あるいは政治的な目的などが含まれます。

攻撃の手法は常に進化しており、フィッシング、マルウェア感染、ゼロデイ攻撃、標的型攻撃、ランサムウェアなど、様々な手段が利用されます。
サイバー攻撃は大規模なものから小規模で巧妙なものまで多様であり、企業や組織は常に新たな脅威に対応するために進化するセキュリティ対策が求められています。

ここでは、サイバー攻撃の本質的な脅威について詳しく解説します。 中小企業がどのように備え、どのように対応するかを理解することで安全なデジタル環境の確立に向けた第一歩となります。

①ネットワークを通じてコンピューターシステムを攻撃する手法

サイバー攻撃は、インターネットを介してコンピューターシステムに悪意ある行動を行う手法の総称です。脅威アクターは様々な手段で企業や組織に侵入し、重要なデータや機密情報を盗む、あるいはシステムをマルウェアで感染させるなどの悪意を持った行動を行います。

②サイバー攻撃の主な目的と被害の範囲

サイバー攻撃の主な目的は、組織や個人のデータへのアクセス、金銭的な利益、あるいは政治的な意図があります。被害の範囲は、データの盗難や改ざん、システムの停止、リソースの悪用など多岐にわたります。

▮サイバー攻撃の種類

サイバー攻撃は多岐にわたります。ここでは、特に中小企業にとって深刻な脅威となるランサムウェア、Emotet(エモテット)、標的型攻撃、サプライチェーン攻撃、そしてゼロデイ攻撃など、主要なサイバー攻撃の種類について詳しく解説します。

①ランサムウェア

ランサムウェアは、コンピューターシステムを感染させファイルやデータを暗号化します。その後、被害者に復号化の鍵を提供する代わりに、身代金を要求します。中小企業も頻繁に被害に遭っており、データの喪失や業務の中断が懸念されます。

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②Emotet(エモテット)

Emotetはトロイの木馬型のマルウェアで、標的組織のシステムに侵入して他のマルウェアやスパムメールを送信する役割を果たします。企業が注意を払わなければ、Emotetによるサイバー攻撃の巧妙な手口に巻き込まれる可能性があります。

③標的型攻撃

標的型攻撃は、特定の組織や個人を狙った高度な攻撃です。狙われた組織の弱点を的確に突くため、中小企業もその標的になりやすいです。

④サプライチェーン攻撃

サプライチェーン攻撃は、主要な企業と取引する小規模な企業を通じて大手企業に侵入する手法です。中小企業は取引先を通じてサイバー攻撃の被害に遭う可能性があります。

➄ゼロデイ攻撃

ゼロデイ攻撃は、セキュリティホールや脆弱性が発見される前に行われる攻撃です。これに対抗するためには、常に最新のセキュリティ情報にアクセスし、システムを保護する必要があります。

▮サイバー攻撃の被害事例

サイバー攻撃の被害は組織に深刻な損害をもたらします。
ここでは実際のサイバー攻撃の事例を挙げ、それが組織に及ぼす悪影響や業務への影響を具体的に説明します。

【事例1】摂津金属工業

侵入経路は不明。PC11台(全185台中)及びサーバー14台(全18台中)がマルウェアに感染。

〇概要
被害が確認されたのは、2021年5月10日。 同社内で利用されている出退勤システムがサーバーダウンしていることが確認されたことによるもの。 調査の結果、同社内でランサムウェア被害が確認され、パソコンやサーバー複数台に影響が発生していた。 なお、調査ではランサムウェアの感染経路の特定はできなかったとのこと。

〇行った対応
被害のあったデバイスを含めた全パソコンのウイルス除去、および初期化を実施。 また、影響のあったサーバーは初期化または廃棄されている。 セキュリティ専門業者により、ファイアウォールを新たに再設定。 メール運用はすべてクラウド化している。 再発防止に向け、全社員に対し不審なメールの開封、不要なサイト閲覧、個人パソコンでの業務を禁止した。

【参照元】サイバー攻撃に関する調査完了報告https://www.settsu.co.jp/files/00000000/461.pdf

【事例2】エムケイシステム

データセンター上のシステムがランサムウェアに感染。2カ月間顧客に十分なサービス提供ができない状態に。

〇概要
被害が確認されたのは、2023年6月。
同社が提供する「社労夢」が、ランサムウェアによるサイバー攻撃を受けた。
5日早朝にデータセンターのサーバーがダウンし、調査したところデータセンター上のシステムがランサムウェアに感染。 2カ月間顧客に十分なサービス提供ができない状態に。

2024年3月期の連結最終損益が4億円の赤字(前期は1億円の黒字)になる見通し。サイバー攻撃対処費用として2億円超の特別損失を計上することに。
なお、同社サービスについては2023年6月30日より新たなクラウド基盤での環境を構築し、順次、サービスを再開。

【参照元】当社サーバーへの不正アクセスに関する調査結果のご報告https://www.mks.jp/company/topics/20230731

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▮サイバー攻撃への対策

ここでは中小企業がサイバー攻撃に対抗するための実践的で効果的な対策を解説します。未知のサイバー攻撃に対応可能なセキュリティソフトの導入、OSやソフトウェアの常時最新化、怪しいメールやURLの警戒、そしてセキュリティ意識の向上など、手順をわかりやすく提示します。

①未知のサイバー攻撃にも対応可能なセキュリティソフトの導入

中小企業は、未知の脅威にも対応できる高度なセキュリティソフトの導入が必須です。EDR(Endpoint Detection and Response)などのツールを利用して、リアルタイムでエンドポイントを監視し、異常な動きを検知することが重要です。

②OSやソフトウェアを常に最新版にする

攻撃者は古いバージョンのソフトウェアやOSに対して既知の脆弱性を悪用します。定期的なアップデートとパッチの適用によって、セキュリティホールを最小限に抑えましょう。

③怪しいメール・URLはクリックしない

社内の従業員には、怪しいメールやリンクを開かないよう徹底的に教育する必要があります。フィッシング攻撃は中小企業にとっても大きなリスクとなっています。

④セキュリティ意識の向上

従業員のセキュリティ意識向上は、サイバー攻撃への最も基本的で効果的な対策の一つです。定期的なトレーニングや教育プログラムを導入し、従業員がセキュリティに対して敏感であることを確保しましょう。

▮導入するべきサイバー攻撃対策ツール

最後に、中小企業が導入すべきサイバー攻撃対策ツールに焦点を当てます。特にエンドポイントでのセキュリティを高める手段としてEDR(Endpoint Detection and Response)をご紹介します。

〇EDR(Endpoint Detection and Response)

EDRとはデスクトップ、ラップトップ、サーバー、モバイルデバイス、スマートフォン、タブレットなどの
ネットワークに接続されているエンドポイントの操作や動作の監視を行い、サイバー攻撃を受けたことを発見し次第対処するソフトウェアの総称です。

エンドポイントをリアルタイムで監視し、不審な活動を検知することで早期に攻撃を防ぎます。中小企業でも導入が比較的容易で、高いセキュリティ効果が期待できます。

総じて、中小企業はサイバーセキュリティにおいてもっとも標的とされやすい存在ですが、効果的な対策を講じることでリスクを最小限に抑えることが可能です。サイバー攻撃の種類や対策を網羅的に理解し、専門的なツールの導入を検討することが、安全なデジタル環境の確保につながります。

サイバー攻撃の種類や対策をきちんと認識し、まずは自社に影響度の高いリスクへの対策から取り組んでいくことが大切です。そのために、まずはリスク分析や脆弱性診断を受けて、自社のセキュリティ状況をチェックしてみることも有効です。

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