オンラインショップの普及に伴い、サイバー攻撃の脅威がますます高まっています。便利で手軽なオンラインショッピングは消費者にとって欠かせない存在ですが、その背後では、顧客の個人情報やクレジットカード情報を狙った不正アクセスが後を絶ちません。不正アクセスは、企業の信用を失墜させるだけでなく、顧客の信頼をも失いかねない深刻な問題です。

本記事では、オンラインショップにおける不正アクセスの実態を解説し、実際に起きた事例やその被害内容、そして企業が取るべきセキュリティ対策について詳しく説明します。この記事を通じて、オンラインショップの運営者が直面するリスクとその解決策を理解し、安全な運営のための手がかりを得ることができるでしょう。

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オンラインショップにおける不正アクセスの実態

オンラインショップは、商品を販売するためのデジタルプラットフォームであり、多くの企業や個人事業主が利用しています。しかし、この利便性の裏には、不正アクセスという深刻な問題が潜んでいます。不正アクセスはオンラインショップの運営を妨げるだけでなく、顧客や企業に多大な損害をもたらす可能性があります。このセクションでは、不正アクセスがオンラインショップにどのような形で影響を及ぼすのか、具体的な実態を詳しく解説します。

顧客情報の流出

不正アクセスの中でも特に深刻なのが、顧客情報の流出です。オンラインショップでは、顧客の氏名や住所、電話番号、メールアドレス、さらにはクレジットカード情報など、膨大な個人情報を取り扱います。攻撃者がこれらの情報を盗むことで、次のような被害が発生する可能性があります。

  1. 個人情報の悪用
    流出した個人情報は、攻撃者によってフィッシング詐欺や不正購入に利用されます。顧客が二次被害に遭うことで、企業に対する信用が失墜します。
  2. ダークウェブでの販売
    盗まれた情報は、ダークウェブ上で売買されることが多く、悪意ある第三者がこれを利用してさらに多くの被害を引き起こします。
  3. 法的責任と補償費用の発生
    顧客情報の管理が不十分だった場合、企業は法律的な責任を問われる可能性があります。また、補償費用や信用回復のための広告費用などが発生します。

アカウント乗っ取り

不正アクセスにより、オンラインショップのアカウントが攻撃者に乗っ取られるケースも多く報告されています。このような攻撃の中で特に一般的なのが「クレデンシャルスタッフィング」と呼ばれる手法です。

  • 仕組み: 攻撃者は、他のサービスから漏洩したアカウント情報をリスト化し、それを使ってオンラインショップのアカウントに不正ログインを試みます。
  • 被害: 攻撃者がログインに成功すると、保存されたクレジットカード情報を悪用した購入や、ポイントの不正利用、さらには個人情報の流出につながることがあります。
  • 事例: 某大手オンラインショップでは、顧客アカウントが乗っ取られ、不正購入による被害が相次ぎました。この結果、顧客への補償が必要となり、多額の費用が発生しました。

決済情報の窃取

オンラインショップでは、顧客が商品を購入する際にクレジットカードや電子決済サービスを利用するケースが多く、不正アクセスによって決済情報が窃取されるリスクがあります。

  • 攻撃手法:
    1. スキミング攻撃
      攻撃者がウェブサイトに悪意のあるコードを挿入し、顧客が入力したクレジットカード情報をリアルタイムで収集します。
    2. フィッシングサイトへの誘導
      偽の決済ページを作成し、顧客を誘導して情報を盗む手法も一般的です。
  • 影響: 顧客が被害に遭うことで、企業への信頼が失われ、顧客離れが加速します。また、クレジットカード会社への報告や補償対応など、企業側の負担も増大します。

サービスの停止

オンラインショップが不正アクセスを受けると、サービスが停止するリスクも伴います。これにより、顧客が商品を購入できなくなるだけでなく、機会損失やブランドイメージの悪化が発生します。

  • 原因:
    1. DDoS攻撃(分散型サービス拒否攻撃)
      攻撃者が大量のリクエストをサーバーに送り込むことで、システムを過負荷にし、ウェブサイトをダウンさせます。
    2. ランサムウェア攻撃
      攻撃者がシステムを暗号化し、運営者に身代金を要求するケースもあります。

在庫や価格データの改ざん

攻撃者がオンラインショップの管理画面に侵入し、在庫データや価格情報を改ざんするケースもあります。

  • 被害内容:
    1. 不正な価格変更
      高価な商品を極端に安い価格に変更し、攻撃者がその商品を購入する。
    2. 在庫データの改ざん
      実在しない在庫を表示させることで、顧客が購入を試みても商品が届かないトラブルが発生します。
  • 影響: 顧客からの信頼を失うだけでなく、トラブル対応に多大な時間とコストを要します。

攻撃者の目的の多様化

オンラインショップへの不正アクセスの目的は、単にデータを盗むことに留まりません。近年では、競合他社を貶めるための攻撃や、内部関係者の関与による不正アクセスも増加しています。

  • 競合他社による攻撃: 商品の在庫状況を操作し、消費者の混乱を引き起こす。
  • 内部不正: 元従業員や外部業者が管理者権限を不正利用してデータを盗むケース。

オンラインショップを狙う不正アクセスの背景

⚠️オンラインショップの急増

コロナ禍などにより、多くの企業がECサイトの立ち上げを進めました。しかし、迅速な開発が求められる中で、セキュリティ対策が後回しにされるケースが多く、不正アクセスの格好の標的となっています。

⚠️顧客データの高い価値

顧客情報や決済情報は、不正利用やダークウェブでの販売に利用されるため、攻撃者にとって非常に価値の高い資産です。特に小規模なオンラインショップでは、セキュリティが脆弱であることが多く、狙われやすい傾向があります。

不正アクセスでよくみられるサイバー攻撃

🔴クレデンシャルスタッフィング

クレデンシャルスタッフィングは、攻撃者が他のサービスから漏洩したユーザー名やパスワードのリストを利用し、不正ログインを試みる攻撃手法です。オンラインショップでは、顧客が同じパスワードを複数のサービスで使い回していることが多く、この手法の成功率が高いとされています。

🔴SQLインジェクション

SQLインジェクションは、ウェブサイトのデータベースに不正なSQLコードを挿入し、顧客情報や商品データを取得または改ざんする攻撃です。特に、入力フォームやURLパラメータが脆弱なサイトが標的になります。

🔴クロスサイトスクリプティング(XSS)

クロスサイトスクリプティング(XSS)は、ウェブページに悪意のあるスクリプトを挿入し、ユーザーのセッション情報や個人情報を盗む攻撃です。オンラインショップのコメント欄やレビュー欄が不適切に保護されている場合、XSS攻撃の入り口となります。

🔴フィッシング詐欺

フィッシング詐欺は、正規のオンラインショップを装った偽のウェブサイトやメールを通じて、顧客のログイン情報やクレジットカード情報を騙し取る手法です。

🔴分散型サービス拒否(DDoS)攻撃

DDoS攻撃は、オンラインショップのサーバーに過剰なトラフィックを送り込むことで、サービスを停止させる攻撃です。この攻撃自体が直接的な情報漏洩を目的とするものではありませんが、サービスの停止による機会損失や顧客の信頼低下を引き起こします。

実際に起きた不正アクセス事例

発表日付企業名概要
2024年4月味市春香 なごみ
※参照:公式HP
有限会社なごみは2024年4月22日、同社が運営するオンラインショップ「味市春香なごみオンラインショップ」にて外部からの不正アクセスが発生し、過去カード決済したユーザーのクレジットカード情報1万6,407件を含む会員1万5,274名の個人情報が漏えいし、一部不正利用された可能性があると明らかにした。
なごみ社によれば2023年6月1日、「味市春香なごみオンラインショップ」からカード情報が漏えいしている可能性について、クレジットカード会社から連絡が入った。なごみ社が外部専門機関に調査を依頼したところ、何者かが「味市春香なごみオンラインショップ」のシステムの一部に内在していた脆弱性を利用して不正アクセスし、ショップのペイメントアプリケーションを改ざんしていた事実が判明。

同社は今後、調査結果を踏まえてシステムのセキュリティ対策および監視体制の強化を行い、再発防止を図るとしています。
2024年10月タリーズコーヒージャパン株式会社
※参照:公式HP
タリーズコーヒーが運営するオンラインストアで不正アクセス被害が発生。
顧客の個人情報やクレジットカード情報が流出した可能性が懸念されている。
同社公表では2024年5月20日、警視庁からの連絡により、タリーズオンラインストアのシステムが不正アクセスを受けていた事実が判明。
5月23日にはサイト自体が一時閉鎖される事態となっている。
不正アクセスは、第三者によりオンラインストアのシステムの脆弱性を狙ったもので、ペイメントアプリケーションが改ざんされていたという。
これにより2020年10月1日から2024年5月23日の間にタリーズオンラインストアに会員登録した92,685名分の情報流出が流出したとみられており、氏名、住所、電話番号、生年月日、メールアドレス、ログイン情報などが含まれている。
さらに、2021年7月20日から2024年5月20日にクレジットカードでの決済を行った52,958名のクレジットカード情報も対象とされ、カード番号、名義人、有効期限、セキュリティコードが被害対象という。

同社は今後の対策としてシステムのセキュリティ強化と監視体制の見直しを進め、再発防止に努めると説明。
2024年11月ヨネックス株式会社
※参照:公式HP
バドミントンやゴルフ用品の製造販売、ゴルフ場運営など展開する「ヨネックス」社で、第三者による不正ログインが発生。
顧客情報が流出した可能性が懸念されている。
不正ログインが検知されたのは「ヨネックス公式オンラインショップ」で、外部で取得された情報を悪用し、複数のアカウントへの不正アクセスを試みる「リスト型攻撃」によるものとされている。
これにより流出したとみられている情報には、顧客の氏名、住所、電話番号、生年月日、性別、購入履歴、クレジットカード情報の一部などが挙げられている。
同社は対応として、不正ログイン元の通信を遮断、その他のアクセスも強化監視している。
また、不正発注の特定、関係者への個別連絡、全会員のパスワードを無効化するなどの措置も取られた。
ユーザーには、他のサービスと異なるパスワードを使用することや、推測されにくいパスワードの設定、パスワードの流出防止と使い回しをしないなどの呼びかけも進めている。

不正アクセスを防ぐための対策

不正アクセスを防ぐためには、まず第一に従業員のセキュリティ意識を高めることが重要です。人的ミスによる漏洩は多くの企業で発生しており、これを防ぐためには定期的なセキュリティトレーニングや、社内ポリシーの徹底が求められます。例えば、メール送信前の確認ルールを徹底したり、外部デバイスの利用を制限することなどが効果的です。

未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入

サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。

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セキュリティについて従業員教育を行う

サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。

セキュリティ対策のガイドラインを策定する

効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。

また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。

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