近年、インターネットを利用した詐欺行為が増加しており、その中でもフィッシング詐欺とスミッシングは特に注意が必要です。フィッシング詐欺は、偽のメールを使って個人情報を盗む手口で、スミッシングはショートメッセージサービス(SMS)を用いて同様の詐欺を行います。本記事では、これらの詐欺の手口や違いについて詳しく解説し、個人情報を守るための具体的な対策と、日常生活で気をつけるべきポイントについて明らかにします。さらに、企業向けには、DMARCを活用したメール認証技術やセクストーションへの備えについても詳述します。

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フィッシング詐欺とスミッシング: 手口の違いと共通点

フィッシング詐欺とスミッシングは、どちらも個人情報を盗むことを目的としたオンライン詐欺ですが、それぞれの手口には異なる特徴があります。ここでは、フィッシング詐欺とスミッシングの手口の違いと共通点について詳しく解説します。

💡フィッシング詐欺の手口

フィッシング詐欺は、偽の電子メールやウェブサイトを使用して、ユーザーの個人情報を盗み取る手口です。これらのメールは、正規の企業や機関からのものであるように偽装され、ユーザーにリンクをクリックさせたり、ログイン情報を入力させたりすることを目的としています。フィッシングメールには、セキュリティに関する緊急の警告やアカウントの更新を促す内容が含まれることが多いです。

💡スミッシングの手口

スミッシングは、フィッシング詐欺のSMSバージョンと言えます。攻撃者はSMSで偽のメッセージを送り、ユーザーに偽のウェブサイトへのリンクをクリックさせ、フィッシング詐欺と同様に個人情報を盗もうとします。スミッシングメッセージは、多くの場合、パッケージの配達や銀行のアカウントに関する通知を装って届けられ、急いで対応するように誘導されます。

💡共通点

両者の共通点として、いずれも巧妙に偽装された通信手段を用いて信頼を得ようとし、ユーザーに対して緊急の行動を促す手口であることが挙げられます。また、実際には存在しない問題を提示することで、ユーザーの焦りや不安を煽り、クリックや情報の入力を誘います。さらに、どちらの詐欺も、最終的な目的は個人情報を盗むことであり、これが銀行口座の不正利用や、さらなる詐欺の足がかりとなることが多いです。

💡対策方法

フィッシング詐欺やスミッシングに対処するためには、以下のような対策が考えられます。まず、メールやSMSに記載されたリンクをクリックする前に、送信元の正当性を確認することが重要です。加えて、公式サイトやアプリを直接入力してアクセスする習慣を持つことが、偽のリンクを回避する方法となります。また、怪しいメールやメッセージを受け取った場合は、不審に思ったらまずはメールやメッセージを無視し、後からゆっくり内容を確認する姿勢を保ちましょう。

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事例から見るフィッシング詐欺の実態

フィッシング詐欺は、煩わしいだけでなく、重大な財産損失を招く可能性があります。その手口は多様化しており、巧妙さを増しています。本章では、いくつかの実際の事例を通して、フィッシング詐欺の実態を明らかにします。

🔴ケーススタディ1: 国内大手の通信業者を装うフィッシング

ある日、Hさんは国内大手通信業者を名乗るメールを受け取りました。メールには「アカウントの異常検知」との警告があり、指定されたリンクをクリックし、ログイン情報を提供するように促されました。しかし、リンク先は通信業者の公式サイトを模した偽サイトであり、Hさんは知らぬ間に個人情報を盗まれてしまいました。幸い、Hさんは早急に通信業者に連絡を取り、アカウントの不正利用を防ぐことができました。

🔴ケーススタディ2: 銀行を名乗るフィッシングSMS

Tさんはある日、銀行を名乗るSMSを受け取りました。メッセージには「あなたのアカウントが不正使用されました。今すぐ確認してください。」とあり、リンクが付いていました。疑いを持たずにリンクをクリックしたTさんは、偽のログインページでアカウント情報を入力し、その後不正入金が行われる被害を受けてしまいました。

事例から分かるように、フィッシング詐欺の被害を防ぐには、まずは冷静にメールやSMSの内容を確認し、リンクや添付ファイルを安易に開かないことが重要です。また、通信業者や銀行からのメッセージが届いた場合でも、疑わしいと感じたら、直接公式サイトにアクセスするか、公式のサポート窓口に相談することが推奨されます。

🔴企業の役割と対応策

企業としては、顧客情報を守るため、セキュリティ教育を強化し、フィッシングメールのサンプルを共有することが必要です。加えて、メール認証技術の導入や、不審な活動を即座に検知するセキュリティシステムの強化を進めることが求められます。

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スミッシングによる被害: 事例と警戒ポイント

スミッシングは、急速に増加するSMS絡みの詐欺で、多くの人々がその被害に遭っています。この章では、スミッシングによる実際の被害事例と、注意すべきポイントについて詳しく解説します。

🔴スミッシング事例1: 配達通知を装った詐欺

ある日、Sさんは「お荷物をお届けするため、お届け先情報を確認してください。」というSMSを受け取りました。リンクをクリックしたSさんは、一見すると正規の配達業者のページに誘導され、個人情報を入力してしまいました。この結果、Sさんの情報は詐欺者に盗まれ、クレジットカードの不正利用などを招く事態となりました。

🔴スミッシング事例2: 銀行を名乗る詐欺

Kさんは、「あなたの銀行口座に疑わしい取引がありました。今すぐ詳細を確認してください。」というSMSを受け取ります。緊急を要する内容に焦りを感じたKさんは、リンク先でログイン情報を入力。これが詐欺であり、口座から多額の不正引き出しが発生しました。

🔴警戒ポイントと防止策

スミッシングの被害を防ぐためには、以下の点に注意が必要です。

  • 発信元の確認: 発信元の番号が公式のものと一致しているか確認してください。
  • リンクのクリックに注意: 不明なリンクを開く前に、公式アプリやウェブサイトを自ら検索してアクセスする習慣をつける。
  • 緊急行動を促すメッセージには注意: すぐに行動を促す内容のSMSは、一呼吸置いて考える。
  • メールやSMSのフィルタリング設定: スマートフォンのセキュリティ設定を調整して、不審なメッセージを検出しやすくする。

これらのポイントを念頭に置いて、不審なメッセージを受け取った場合は速やかに削除し、重要な情報を入力しないようにしましょう。

個人情報を守るための基本的対策

個人情報の保護は、フィッシング詐欺やスミッシングによる被害を防ぐ上で非常に重要です。これらの詐欺に巻き込まれないためには、日常的に注意すべきポイントと具体的な対策があります。

セキュリティ意識の向上

まず、自分のデジタルデータに対する認識を深めることが不可欠です。普段から情報を入力する際には、その情報がどのように利用されるのかを意識し、必要以上の情報提供を避ける習慣が必要です。

怪しいメールの認知: 不審なメールやメッセージを受け取った場合には、まず内容の真偽を判断できるスキルを身につける。

プライバシー設定の確認: ソーシャルメディアやオンラインサービスのプライバシー設定を定期的にチェックし、情報公開範囲を最小限にする。

技術を活用した対策

最新の技術を利用して、フィッシングやスミッシングからの保護を強化することができます。利用可能なツールや設定を活用することで、セキュリティをさらに高めることが可能です。

アンチウイルスソフトの利用: 信頼性の高いアンチウイルスやアンチマルウェアソフトをインストールし、定期的に更新することで、危険なリンクやファイルから保護する。

2要素認証の導入: 重要なアカウントには2要素認証を使用し、IDとパスワードだけでなく、追加のセキュリティプロトコルを設ける。

パスワード管理の工夫

パスワードの管理は、個人情報を守る上で重要なファクターの一つです。単純なパスワードは攻撃者に狙われやすいため、管理方法にも工夫が必要です。

パスワードマネージャーの利用: 複数の強力なパスワードを一元管理できるパスワードマネージャーを活用し、安全に情報を保管する。

強力なパスワードの設定: 英数字と記号を組み合わせたランダムなパスワードを使用し、定期的に変更する。

定期的なバックアップの実施

万が一、情報が盗まれた場合に備えて、重要なデータのバックアップを定期的に行う習慣を持つことも大切です。

バックアップデータの暗号化: バックアップしたデータは暗号化して保存し、不正アクセスから守る。

自動バックアップの設定: クラウドサービスや外付けハードディスクを利用して、データを自動でバックアップ。

情報社会において個人情報を安全に保つことは、自身のデジタルライフの土台を構築することに他なりません。自分の行動や情報に責任を持ち、適切な対策を講じることで、日常生活における多くのリスクを防ぎ、自分自身を守ることができます。

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企業向け: DMARCによる効果的なメール認証

フィッシング詐欺の多くは、電子メールを基点に広がります。企業におけるフィッシング対策の要として、メールの真正性確認技術であるDMARC(Domain-based Message Authentication, Reporting & Conformance)の導入が進められています。この章では、DMARCの基本的な仕組みと、導入による効果について説明します。

DMARCの仕組み

DMARCは、メール認証技術のSPF(Sender Policy Framework)やDKIM(DomainKeys Identified Mail)と組み合わせて機能します。これにより、受信者のサーバーがメール送信元をより正確に検証できるようになり、フィッシングに多用される「なりすましメール」を防ぐ効果を持ちます。

  • SPFとの連携: SPFは、送信ドメインに対して許可されたIPアドレスのリストを使用して、送信者の正当性を検証します。
  • DKIMとの連携: DKIMは、メールにデジタル署名を付与し、改ざんされていないことを保証します。
  • ポリシーの設定: DMARCではポリシーを設定し、検証に失敗したメールの処理方法(受信、隔離、拒否など)を指定できます。

導入のメリット

DMARCを実装することによって、次のようなメリットを得ることができます。

信頼性の向上: フィッシング詐欺による企業ブランドの損傷を防ぎ、顧客からの信頼を維持することができます。

メールセキュリティの強化: なりすましメールの大幅な減少により、企業内外への詐欺の拡散を防ぎます。

レポート機能の活用: DMARCは失敗したメールについての詳細なレポートを生成します。これにより、企業は自社のメールシステムにおける脆弱性を把握しやすくなり、セキュリティポリシーの改善に役立てることができます。

導入時の注意点

DMARCの導入には専門性が求められ、適切な設定が必須です。誤った設定はメールの正当性を損なう原因となる可能性があるため、以下の点に注意が必要です。

  • 段階的な導入: 初めは観測モードでテストし、問題がないことを確認した上でポリシーを厳格化する。
  • 他のセキュリティ対策との併用: DMARCに限らず、多層防衛の一環として他のセキュリティ対策とも併用する。

企業はこれらのポイントを意識してDMARCを導入することで、信頼性の高いメールコミュニケーションを維持することが可能です。

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セクストーションへの備えと防御策

セクストーションは、プライバシーの侵害と恐喝を組み合わせた新しい形態のサイバー犯罪です。この章では、セクストーションの手口を理解し、それに対する効果的な備えと防御策について詳しく解説します。

🔴セクストーションの手口

セクストーションは、個人のプライベートな映像や写真を悪用し、それを公に晒さない代わりに金銭を要求する詐欺です。犯人はハッキングやソーシャルエンジニアリングを通じて動画会議システムやSNSを介して情報を収集します。また、一般的なフィッシング手法を用いて個人の機密情報にアクセスすることもあります。

🔴防御策

セクストーションから身を守るために、以下の防御策を採ることが重要です。

1. プライバシーの意識向上

  • Webカメラやマイクの使用時以外でのオフ: 使用していないときはカメラを覆ったり、マイクを切る。
  • 個人情報の慎重な取り扱い: 自分や他人のプライバシーに関わる情報は慎重に扱う。

2. ソフトウェアとデバイスのセキュリティ強化

  • セキュリティソフトの導入: 端末に信頼できるウイルス対策ソフトを必ずインストール。
  • ファームウェアおよびソフトウェアの更新: 定期的にデバイスとアプリケーションを最新の状態に保ち、脆弱性を修正する。

3. ソーシャルメディアとメッセージングアプリの設定確認

  • プライバシー設定の管理: 知らない人が簡単にプライベート情報にアクセスできないよう設定を見直す。
  • 不審なメッセージの扱いに注意: 怪しいメッセージやリンクを無視し、不明な送信者をブロックする。

🔴被害に遭った場合の対応

セクストーションの被害に遭った場合には、冷静に対応することが求められます。

  • 要求に応じない: 犯人の要求に従うことなく、冷静に対応してください。
  • 証拠の保全: メールやSMS、電話記録などを保存し、後の証拠として利用する。
  • 警察への相談: すぐに専門の機関や警察に被害を報告し、アドバイスを仰いでください。

🔴企業としての備え

企業においても、セクストーションの防御策を強化し、従業員への啓発を行うことが重要です。特に在宅勤務者には、従業員が安全な通信環境を構築できるよう、適切なガイドラインの提供とセキュリティツールの導入を検討する必要があります。

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日常生活で注意すべき詐欺のサイン

現代のデジタル社会において、フィッシング詐欺やスミッシングをはじめとするさまざまな詐欺手段が私たちの日常生活に影響を及ぼしています。詐欺の被害を未然に防ぐためには、詐欺の兆候を見逃さず、適切に対応することが不可欠です。この章では、詐欺に関連する一般的なサインについて解説し、どのように対処すべきかの指針を示します。

🔴急を要する内容に注意

多くの詐欺行為は、ユーザーに「今すぐ対応しなければならない」という感覚を抱かせようとします。特に「即時の行動を促す警告」、「アカウントの停止」、「不正利用の疑い」などのメッセージは、信頼を誘う策略であることがしばしばです。このようなメッセージを受け取った際は、その内容を冷静に見極め、リンクや指示に従わないようにすることが重要です。

🔴発信者情報の確認

不審なメールやSMSの発信元情報を確認することが、フィッシング詐欺やスミッシングを見抜く鍵となります。送信元メールアドレスや電話番号が本物と思わせるような細工がされていることもありますが、よくチェックすれば怪しい兆候を発見することができます。また、公式の連絡先と比較し、一致しない場合は疑うべきです。

🔴見知らぬリンクや添付ファイルは開かない

詐欺メールやメッセージには、不正なリンクやウイルスを含む添付ファイルが仕込まれていることがあります。見知らぬリンクをクリックする、または不自然なファイルをダウンロードすることは大きなリスクを伴います。セキュリティ意識を高め、公式なサイトを直接訪ねる習慣を心がけましょう。

🔴様々な手口に関する情報の入手

詐欺手口は日々進化しています。常に最新の詐欺情報を入手し、身を守るための知識を蓄積しておくことが大切です。ニュースや信頼できるセキュリティ情報から学びを深め、詐欺者が用いる新たな技術や心理戦術に対応する心構えを持っておくことが望ましいです。

詐欺から身を守るためには、緊急性を煽る内容や不審な発信元、見知らぬリンクは常に警戒し、落ち着いて対処することが大切です。日常的に情報収集を怠らず、自らのセキュリティ意識を高めることも忘れずに行いましょう。些細な違和感も見逃さない態度が、詐欺被害を防ぐための最良の対策となります。

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サイバー攻撃対策をするなら

未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入

サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。

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セキュリティについて従業員教育を行う

サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。

セキュリティ対策のガイドラインを策定する

効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。

また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。

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