サイバーセキュリティにおいて、常に新たな脅威が出現し防衛方法も進化を続けています。
その中で今回は「ファイルレス攻撃」についてご紹介します。従来のウイルスやマルウェアとは異なるファイルレス攻撃の概要と、これに対する有効な対策方法について解説します。
最新の動向を理解し、適切な予防策と対処法を身につけることが、サイバーセキュリティ対策を行っていく上で重要です。

ファイルレス攻撃(ファイルレスマルウェア)とは

ファイルレス攻撃は従来のマルウェアと異なり、ディスク上にファイルとして残らないことが特徴です。この攻撃はシステムの正当なプロセスやメモリを利用し、セキュリティソフトウェアの検知を回避します。
ここでは、ファイルレス攻撃の基本概要、特徴、及び可能な被害について詳しく説明します。

ファイルレス攻撃の概要と特徴

ファイルレス攻撃(ファイルレスマルウェア)は近年、多くの企業に対するサイバー攻撃の一手法として注目されています。これは、OSに元々備わっている機能を利用してメモリに常駐し、悪意のあるソフトウェアをインストールさせることなく攻撃を行う手法です​​。
例えば、Windows PowerShellはファイルレス攻撃に利用されやすい機能の一つであり、悪意のあるコードをメモリ上で実行することにより、PCの電源を切ると痕跡が消えてしまうという特徴があります。
これにより、攻撃者はシステム内部で目立たずに活動することが可能となり、被害を拡大させる前に発見されづらいといった特徴もあります。

ファイルレス攻撃で起こり得る被害

ファイルレス攻撃による被害は、不正アクセス・データの改ざん・情報漏えい・遠隔操作など、通常のマルウェア攻撃と似ていますが、その検出が困難です​​。対策としては、PowerShellのような悪用される可能性のある機能を無効化する方法が考えられますが、多くのMicrosoft製品がPowerShellを必須としているため、これが現実的ではない場合もあります​​。
したがって、ファイルレス攻撃対応のセキュリティソフトやエンドポイント検出・対応ツール(EDR)の使用、メール添付ファイルの慎重な取り扱いといった基本的なセキュリティ意識の向上が重要です​

ファイルレス攻撃の種類

ファイルレス攻撃はその手法によって異なる種類があり、それぞれ独自の特徴と脅威を持っています。このセクションでは、主に「メモリ内攻撃」、「レジストリ攻撃」、そして「スクリプト攻撃」という三つの主要なファイルレス攻撃をご紹介します。

メモリ内攻撃

メモリ内攻撃は、マルウェアがシステムの物理メモリ内で実行される手法です。この攻撃はディスクには一切の痕跡を残さず、システムの再起動時に消えるため、検出が非常に困難です。

レジストリ攻撃

レジストリ攻撃は、Windowsレジストリに悪意のあるコードを注入する手法です。この攻撃はシステムの正規のプロセスに紛れ込むことで、セキュリティソフトウェアの検知を回避します。

スクリプト攻撃

スクリプト攻撃では、攻撃者はPowerShellスクリプトなどを使用してシステムにアクセスします。これにより、攻撃者はシステム設定の変更やデータの盗難など、さまざまな悪意ある活動を行うことができます。

これらのファイルレス攻撃の種類を理解し、それぞれに対応するセキュリティ対策を講じることが、組織や個人のデジタルセキュリティを保護するために極めて重要です。

ファイルレス攻撃の対策方法

ファイルレス攻撃に対抗するためには、伝統的なウイルス対策ソフトウェアだけでなく、より進んだ対策が必要です。ここでは、ファイルレス攻撃から自身のデバイスやネットワークを守るための効果的な対策方法をご紹介します。

最新のセキュリティツールの活用

ファイルレス攻撃に対応するためには、行動検知技術やAIを用いた最新のセキュリティツールの導入が推奨されます。これらのツールは異常な動作を検知し、ファイルレス攻撃を未然に防ぐことが可能です。

セキュリティ意識の向上

従業員やユーザーのセキュリティ意識の向上も重要です。定期的な研修や教育を通じて、不審なメールやリンクに対する警戒心を高め、ファイルレス攻撃のリスクを減らすことができます。

外部接続の制限

不要な外部接続を制限することも有効な対策の一つです。特に、外部からのリモートアクセスを厳格に管理し、不正なアクセスを防ぐことが重要です。

これらの対策を適切に実施することで、ファイルレス攻撃のリスクを軽減し、より安全なデジタル環境を維持することができます。

ファイルレス攻撃の対策方法

ファイルレス攻撃に対する実際の対応事例は、サイバーセキュリティ対策の理解を深め、効果的な対策を講じるための重要な参考になります。ここでは、特に政府機関や企業におけるファイルレス攻撃への対応事例を紹介し、実践的な対策の重要性を強調します。

政府機関におけるファイルレス攻撃の対策

政府機関では、セキュリティの専門チーム(CSIRT)を設置し、日々のネットワーク監視と異常検知システムの運用を強化しています。また、職員に対する定期的なセキュリティ研修を行い、ファイルレス攻撃の認識と対処方法を共有しています。

企業におけるファイルレス攻撃の被害事例

一方、企業の中にはファイルレス攻撃によって重要データの漏洩やシステムのダウンタイムを経験したケースもあり、セキュリティシステムの更新、従業員教育、外部との通信管理の徹底がファイルレス攻撃への対策において非常に重要であることが明らかになりました。

これらの事例を通じて、ファイルレス攻撃に対する実践的な対応策の重要性を理解し、それぞれの組織や環境に合った対策を講じることが、サイバーセキュリティの強化につながります。

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