ファッション×IT スタートアップFABRIC TOKYOが選んだセキュリティ対策 常にクリーンな環境を実現できる上流側の仕組化と現場の社員教育の重要性
株式会社FABRIC TOKYO


- 社名
-
株式会社FABRIC TOKYO
- 従業員数
- 100〜199名
- 事業内容
- カスタムオーダーサービス「FABRIC TOKYO」の運営
個人情報保護法の厳格化や標的型攻撃の増加など、企業を取り巻くセキュリティリスクは日々高まっています。特にECサイトを運営する企業では、顧客の個人情報を多数保有しており、サイバー攻撃を受けた際の被害は計り知れません。アパレルとITを掛け合わせたサービスを展開するFABRIC TOKYO様では、専任の情報システム担当者が不在という状況の中で、効率的かつ効果的なセキュリティ対策の構築を目指していました。
今回は、FABRIC TOKYOのシステム開発チームでリードエンジニアを務める高橋様に、セキュリティ強化の背景から導入後の効果までを詳しく伺いました。
情シス不在でも会社を守る:専門家との協業がカギ
まずはFABRIC TOKYO様の事業内容と、高橋様の業務についてお聞かせください。
高橋様(以下、高橋):
当社はファッションとITを掛け合わせたビジネスウェアブランドとして事業を展開しています。主にECサイトを運営していて、お客様の身体サイズに合わせたオーダーメイド商品を提供しています。
私自身はシステム開発チームのリードエンジニアとして、会社のシステム開発が主な業務です。以前は情シスの専任担当者がいたのですが、その方が退職された後は、私が情シス業務も兼務している状況です。システム開発がメインで、セキュリティやネットワーク管理はサブ業務という位置づけになっています。
セキュリティ対策として、アクトのサービス導入前はどのような状況だったのでしょうか?
高橋:
基本的な対策は行っていましたが、より強固なセキュリティ体制を構築したいと考えていました。弊社はMacユーザーが多いので、基本的にはMacの標準セキュリティ機能を使用していました。一部のWindowsユーザーも同様に、デフォルトのセキュリティソフトを使用しているだけの状態でした。


センシティブな顧客データを保護する重要性
事業上、どのような情報を取り扱われているのでしょうか?
高橋:
ECサイトを運営しているので、お客様の氏名や住所など、商品を届けるために必要なデータを保有しています。特徴的なのは、お客様の身体サイズに関するデータです。お客様の身体サイズデータは、当社のオーダーメイドサービスの中核となる重要な情報であり、厳重な保護が必要であると考えています。極端な話、住所は引っ越せば変えられますが、身体的特徴は簡単に変えられないものです。また、お客様からのヒアリング内容など特徴的な情報も記録しているため、セキュリティレベルを高く保つ必要があると考えています。
アクトのサービス導入のきっかけを教えていただけますか?
高橋:
会社の内部体制強化を進める中で、当社の社長がアクトさんと知り合う機会があり、一度話を聞いてみようということになりました。そこから導入につながっていきました。
セキュリティ強化の本当の課題は「人」
セキュリティ強化について、個人的にはどのようなお考えをお持ちでしたか?
高橋:
システム面の強化も大切ですが、個人的には社員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることが急務だと考えていました。弊社はアパレル業界出身の社員も多く、ITリテラシーにばらつきがあるため、セキュリティ教育を重視しています。全員がITに詳しいわけではなく、新たに入社する方もITに特化しているわけではないので、セキュリティ意識が元々低いことが多いのです。なのでそうした社員教育の部分が最も急務だと常々考えていました。


導入効果:クリーンな環境の維持
実際に導入してから、どのような効果を感じていますか?
高橋:
最初は1年契約で効果を見てから継続を判断しようと考えていましたが、結果として効果があると判断し、契約を継続しています。
大きな理由としては、特別なトラブルが発生しなかったことです。過剰にアラートが上がるわけでもなく、適切な量のアラートが通知されるので、一定の効果を出していると感じています。
横井(アクト):
FABRIC TOKYO様は私たちから見ても非常にクリーンな環境を維持されています。我々は100台あたり月間でどれくらいアラートが出るかという指標を見ていますが、他社に比べて明らかにクリーンな状態です。
高橋さんは謙遜して仰っていますが、やはり社員教育がしっかりされている印象を受けます。サイバー攻撃は「人の脆弱性」と「システムの脆弱性」の二つをついてきますが、FABRIC TOKYO様は人の部分がしっかりとしているため、現在のクリーンな状態が維持できているのだと思います。
前職から持ち込んだUSBを使用したり、不審なメールの添付ファイルを開いたりする行為が見られないのは、素晴らしい状態です。
常にセキュリティ意識を持たせる社員教育の取り組み
社員教育について何か特別な取り組みをされていますか?
高橋:
最近、「これは個人情報か否か」をクイズ形式で実施しました。個人情報は様々で、人に紐づいているものは個人情報ですが、紐づいていなければ単なるデータです。例えば電話番号は、誰のものか分からなければただの番号ですが、特定の人に紐づけば個人情報になります。そういったことを理解しているかのテストでしたが、正答率は良好だったので安心しています。
また、Googleスプレッドシートを社外の人と共有する場合には、すべて私に通知が来るようにして、本当に外部共有していい情報なのかを逐一チェックしています。
EDRとSOCサービスの価値
EDRやSOCといったセキュリティ用語は、導入前からご存知でしたか?
高橋:
名前は聞いたことがありましたが、実際に使ったことはありませんでした。最初はEDRをセキュリティソフトと混同していましたが、セキュリティソフトがクライアントに常駐するような感じなのに対して、EDRは集中管理をするような感じで外部から全デバイスをリモートで監視できる点が非常に便利だと感じています。
SOCサービスについては、ありがたいことにほとんど問い合わせする必要がないほど平和な状態です。一時期、特定のアプリケーションがアップデートのたびに消えてしまうという問題があった際には相談させていただきました。
横井(アクト):
基本的にSOCチームとのやりとりは少ない方が良いんです。アラートが頻発してSOCチームと連携して対応するというのは正しい姿ではありますが、健全な状態とは言えません。日常的なコミュニケーションが少ないということは、クリーンな環境の証拠と言えますね。


今後の課題:さらなるセキュリティ強化へ
今後セキュリティ面で強化したいポイントはありますか?
高橋:
過去に一度導入してやめてしまったMDM(モバイルデバイス管理)を再度導入したいと考えています。社員が私用の携帯電話で会社情報にアクセスできる状況は問題だと思っています。Slackなどのチャットツールは業務上必須なので、完全に禁止するわけにはいきませんが、適切に管理する必要があります。
また、二段階認証を全社員に対応させることも必要です。現在は管理者のみ必須にしていますが、全体に拡大する予定です。
データ取り扱いのルール整備も課題です。会社が保有している個人情報を分析のために使いたいというメンバーがいますが、閲覧可能な人と不可能な人を明確に分けるべきです。または、個人を特定しない形でマスキングしたデータを使用するようルール化する必要があります。
社員のリテラシー強化についてはいかがですか?
高橋:
標的型攻撃メール訓練の実施を検討しています。標的型攻撃を模したメールを社員に送信して、対応力を身につけさせる取り組みです。
セキュリティ強化には「上流」と「下流」の両方を強化することが大切です。上流はアクトさんのような専門企業に協力いただいてシステム面を強化し、下流は各社員のリテラシー向上が必要です。そうした社員教育は今後も継続的に実施していきたいと考えています。
アクトのSentinelOneとSOCサービスを他社にお勧めするとしたら、どのような企業が適していると思いますか?
高橋:
明確なのは、私のように情シス担当が専任でいない会社です。情シスといっても幅広い職種があり、コーポレートエンジニアのような専門スタッフがいる大企業であれば、様々な選択肢から自社に合ったものを選べばいいと思います。
しかし、専門スタッフがいない場合は、アクトさんのような専門家に対応をお願いするのが良いでしょう。例えば、小規模企業の経営者で、セキュリティ強化の必要性は理解しているけれど何をしたら良いか分からないという方には、特にぴったりのサービスではないでしょうか。
横井(アクト):
基本的に我々のサービスは情シス担当者とのやりとりが多いのですが、セキュリティに詳しくない方に対して運用負荷をオフロードすることも得意としています。そういった企業様には大いにご活用いただければと思います。


まとめ
ECサイトの運営や顧客の機密情報を扱う企業にとって、セキュリティ対策は避けて通れない課題です。しかし、専任の情報システム担当者がいない企業では、どのような対策を講じるべきか、どのように運用していくべきかが大きな悩みとなります。
FABRIC TOKYO様の事例は、専門知識がなくても適切なパートナーと協業することで、効果的なセキュリティ体制を構築できることを示しています。特に注目すべきは、システム面の対策だけでなく、社員教育にも力を入れている点です。セキュリティ対策の「上流」と「下流」の両方に取り組むことで、クリーンな環境を維持することができています。
今回の事例のように、「何も起こらない」状態を維持することこそがセキュリティ対策の成功と言えるでしょう。情報システム担当者が不在もしくは兼任の企業、セキュリティ対策の必要性は理解しているが何から始めれば良いか分からない企業の皆様は、ぜひFABRIC TOKYO様の取り組みを参考にしてみてはいかがでしょうか。
自社のセキュリティ課題や最新の対策について興味がある方は、ぜひアクトまでお気軽にご相談ください。
