現代のサイバー攻撃はますます巧妙化しており、特に企業の情報資産やネットワークインフラを標的とした攻撃が急増しています。その中で「COMハイジャッキング」という攻撃手法は、一般的なフィッシングやマルウェア攻撃と異なり、高度な技術を要するため、目に見えにくい形で進行することが特徴です。本記事では、COMハイジャッキングとは何か、その仕組みやリスク、具体的な事例、さらに効果的な防御策について解説します。

SentinelOne 特設サイト
AIによる次世代セキュリティで、ミリ秒で自動防御を実現
AI駆動EDR「SentinelOne」
アクトはSentinelOneとMSSP契約を持つ正式パートナーかつ、国内唯一のIRパートナーです。
平常時からインシデント対応までお客さま負担をかけることなく、最高レベルのサイバーセキュリティをご提供します。

COMハイジャッキングとは

COMハイジャッキングとは、WindowsのCOM(Component Object Model)インターフェースを悪用する攻撃手法です。COMは、Windowsアプリケーションがさまざまなコンポーネント間で通信するための仕組みであり、これを利用してシステム内の権限を乗っ取ることが可能になります。攻撃者は、正規のCOMオブジェクトを模倣した悪意のあるオブジェクトを挿入し、これをシステムが使用するように仕向けます。結果として、攻撃者はシステム全体にアクセスできるようになるのです。

COMハイジャッキングが特に危険なのは、これがWindows OS自体の基本的な機能を悪用しているため、検知が難しい点にあります。従来のセキュリティソリューションでは、こうした攻撃をリアルタイムで特定するのが困難であり、被害が発覚する頃にはすでに重大な損害が発生している場合が少なくありません。

COMハイジャッキングの仕組み

COMハイジャッキングの背後には、WindowsのCOMインフラストラクチャに存在する設計上の脆弱性が関係しています。以下はその基本的な仕組みです。

COMオブジェクトとレジストリの関係

Windowsでは、COMオブジェクトはシステムレジストリに登録されており、アプリケーションが必要なコンポーネントにアクセスする際には、このレジストリを参照します。攻撃者は、正規のCOMオブジェクトを指すレジストリエントリを変更し、自分の用意した悪意のあるCOMオブジェクトを指すように設定します。

実行プロセスの乗っ取り

アプリケーションがCOMオブジェクトを呼び出す際に、攻撃者の用意したオブジェクトが実行され、攻撃者はそのプロセスの権限を取得します。このプロセスの乗っ取りにより、攻撃者はシステム全体を操作できるようになります。

持続的な攻撃

COMハイジャッキングは、一度成功すると持続的な攻撃が可能です。悪意のあるCOMオブジェクトがレジストリに登録され続ける限り、システム再起動後も攻撃は継続され、セキュリティの回避が難しくなります。

COMハイジャッキングのリスクと影響

COMハイジャッキングは、個人ユーザーだけでなく、特に企業にとって深刻なリスクを伴います。以下にその主なリスクと影響を詳しく解説します。

システム全体の制御を奪取されるリスク

攻撃者がCOMハイジャッキングを成功させると、システム内のあらゆるプロセスやリソースにアクセスできるようになります。これには、機密データの取得、アカウント情報の窃取、さらにはネットワーク内の他のデバイスへの拡散が含まれます。このため、攻撃者にとっては極めて効果的な攻撃手法といえます。

情報漏洩とデータ破壊

COMハイジャッキングによって権限を取得した攻撃者は、企業の顧客データや従業員データ、知的財産にアクセスすることが可能です。これにより、データ漏洩や改ざん、さらには完全なデータ破壊を引き起こすことがあります。情報漏洩事件は企業の信用を損ない、場合によっては法的措置や罰金が科されることもあります。

セキュリティ対策の回避

従来のセキュリティソリューションは、COMハイジャッキングのようなシステム内部の不正操作を検出する能力に限界があります。攻撃者は、セキュリティソフトやファイアウォールを迂回し、システムに侵入することが可能です。このため、攻撃の発見が遅れる可能性が高まり、被害が拡大します。

COMハイジャッキングへの対策

COMハイジャッキングを防ぐためには、以下のような多層的なアプローチが必要です。

🟢レジストリ監視と保護

COMハイジャッキングの成功には、システムレジストリの改変が必要です。そのため、レジストリの変更を監視し、不正な変更が行われた場合に即座に警告を出す仕組みを導入することが効果的です。

🟢EDR(Endpoint Detection and Response)の活用

EDRソリューションを導入することで、COMハイジャッキングのような高度な攻撃をリアルタイムで検出し、対応することが可能です。EDRはシステム全体を監視し、異常な動作を検知する能力を持っています。

🟢システムパッチの適用

COMハイジャッキングは、Windowsの脆弱性を悪用することが多いため、最新のセキュリティパッチを適用することが重要です。これにより、既知の脆弱性を攻撃者に利用されるリスクを最小限に抑えることができます。

サイバー攻撃対策をするなら

未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入

サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。

SentinelOne 特設サイト
AIによる次世代セキュリティで、ミリ秒で自動防御を実現
AI駆動EDR「SentinelOne」
アクトはSentinelOneとMSSP契約を持つ正式パートナーかつ、国内唯一のIRパートナーです。
平常時からインシデント対応までお客さま負担をかけることなく、最高レベルのサイバーセキュリティをご提供します。

セキュリティについて従業員教育を行う

サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。

セキュリティ対策のガイドラインを策定する

効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。

また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。

SentinelOneに関する詳細は下記バナーから特設サイトへ

Sentinelone