サイバー攻撃が高度化する現代において、システムの認証にはより高いセキュリティ対策が求められています。従来のIDとパスワードによる認証だけでは不正アクセスを防ぐのが難しくなり、セキュリティ業界では新しい認証方式が模索されています。その中でも「リスクベース認証」は、ユーザーの行動やアクセス元などのリスク要素を基に認証の強度を動的に調整する仕組みです。本記事では、リスクベース認証の概要とその仕組み、さらに利点と注意点について詳しく解説します。

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リスクベース認証とは

リスクベース認証とは、アクセス時に発生するリスクに応じて、認証の強度を動的に変更する認証方式です。従来の静的なパスワード認証と異なり、ユーザーの行動やアクセス状況を分析して、リスクが高いと判断される場合には追加の認証ステップ(例: ワンタイムパスワードや生体認証)を要求します。これにより、不正アクセスのリスクを軽減し、セキュリティを強化することが可能です。リスクベース認証は特に金融機関や企業のシステムで導入が進んでおり、ユーザーの利便性と安全性のバランスを保つために効果的な方法とされています。

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リスクベース認証の仕組み

リスクベース認証の仕組みは、まずアクセス時にユーザーの行動や環境情報を取得し、リアルタイムでリスクを評価するところから始まります。例えば、アクセスするデバイスの種類、IPアドレス、アクセス場所、時間帯、操作の異常性などが分析対象となり、それぞれに基づきリスクスコアが算出されます。リスクスコアが高い場合には追加の認証を要求し、低い場合には通常のログインのみでアクセスを許可します。このようにして、リスクに応じた認証強度の調整が行われます。

リスクベース認証の種類

✅アクティブ認証

アクティブ認証は、ユーザーが特定のアクションを行うことでリスクが評価され、追加の認証が求められる方式です。例えば、リスクの高いIPアドレスからアクセスした場合、ワンタイムパスワード(OTP)を入力するように求められるケースなどがアクティブ認証に該当します。この方式は、ユーザーが意識的に認証行動をとる必要があるため、リスクレベルが明確な場合に適しています。金融機関やECサイトでは、このアクティブ認証が多く採用されています。

✅パッシブ認証

パッシブ認証は、ユーザーの意識に上がらない形でリスク評価が行われ、追加の認証が必要か否かをシステムが判断する方式です。たとえば、アクセスするデバイスの挙動や入力速度などが基準として用いられ、異常なパターンが検出された場合にのみ認証が強化されます。パッシブ認証は、ユーザー体験を損なわずにセキュリティを確保できる点が魅力で、特にオンラインバンキングやモバイルアプリで多用される手法です。

リスクベース認証のメリット

🟢不正アクセスの抑止

リスクベース認証は、アクセス時のリスク評価に基づき認証レベルを調整するため、不正アクセスの抑止に効果的です。特に、ユーザーの普段とは異なる行動が見られた場合に追加の認証を要求するため、なりすましなどの不正行為が発覚しやすくなります。これにより、企業はセキュリティの信頼性を向上させることができ、不正アクセスが引き起こす情報漏洩リスクを大幅に低減できます。

🟢利便性の向上

リスクベース認証は、ユーザーが通常通りの行動を取っている場合には、簡単な認証プロセスでアクセスできるため、ユーザーエクスペリエンスが向上します。従来の認証方式のようにすべてのアクセスで多要素認証を要求されるわけではなく、必要なときだけ追加の認証が入るため、利便性を損なわずに高いセキュリティを保てます。特に、リモートワークが増えている中で、業務効率の向上にも寄与する認証方式です。

リスクベース認証のデメリット

🔴導入・運用コストが高い

リスクベース認証は、ユーザー行動や環境情報をリアルタイムで分析するため、導入時に専用のインフラやシステムが必要であり、導入・運用コストが高くなる傾向があります。また、リスク分析アルゴリズムの精度向上やシステムのメンテナンスも定期的に行う必要があるため、中小企業にとっては導入のハードルが高い場合もあります。コストを抑えるためには、クラウドサービスの活用などが推奨されます。

🔴認証精度による誤検知のリスク

ユーザーの行動を監視し、異常があれば追加認証を求める仕組みですが、認証精度が十分でない場合には、正当なユーザーでも不正とみなされる「誤検知」が発生するリスクがあります。例えば、出張先など通常とは異なる場所からのアクセスが制限されるケースや、新しいデバイスからのログインが誤ってブロックされることもあります。認証システムの精度を高め、誤検知を減らすためには継続的なシステムの調整が必要です。

サイバー攻撃対策をするなら

未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入

サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。

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セキュリティについて従業員教育を行う

サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。

セキュリティ対策のガイドラインを策定する

効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。

また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。

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