近年、サイバー攻撃が高度化・巧妙化する中で、パスワードのみに依存した認証方式では、セキュリティ対策として不十分であることが明らかになってきました。そこで注目されているのが、多要素認証です。多要素認証は、パスワードだけでなく、複数の異なる要素を組み合わせて利用者を確認することで、より強固なセキュリティを実現する手法です。本記事では、多要素認証の仕組みやその導入が求められる背景、さらに導入するメリットについて詳しく解説します。

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多要素認証(MFA)とは

多要素認証(Multi-Factor Authentication, MFA)とは、利用者の認証に複数の要素を使用することで、セキュリティを強化する仕組みです。一般的な認証方式では、パスワードなど一つの要素でユーザーを識別しますが、MFAでは「知識要素」「所有要素」「生体要素」といった複数の異なる要素を組み合わせて、なりすましや不正アクセスを防ぎます。これにより、万が一パスワードが漏洩した場合でも、他の要素によって保護されるため、安全性が飛躍的に向上します。

認証の3要素

知識要素

知識要素は、ユーザーが「知っている」情報を基に認証を行うものです。代表的な例はパスワードやPINコードであり、これらの情報は本人しか知らないことを前提にして認証を行います。しかし、パスワードが外部に流出した場合には、簡単に攻撃者に悪用されるリスクがあるため、知識要素のみでは不十分なことが多く、多要素認証の一部として利用されることが増えています。

所有要素

所有要素は、ユーザーが「持っている」ものを基に認証を行います。一般的な所有要素には、スマートフォンで生成されるワンタイムパスワード(OTP)や、物理的なセキュリティトークンなどがあります。これにより、攻撃者がパスワードを盗んだとしても、物理的なデバイスを持っていなければ認証が完了しないため、セキュリティが大幅に向上します。

生体要素

生体要素は、ユーザーの身体的な特徴を基に認証を行います。具体的には、指紋、顔認証、虹彩認証などが挙げられます。これらの特徴は個人ごとに異なるため、最も信頼性の高い認証方法の一つです。特に近年では、スマートフォンやノートパソコンに生体認証が標準搭載されるようになり、セキュリティの強化が進んでいます。

多要素認証が求められる背景

多要素認証が求められる背景には、サイバー攻撃の巧妙化とパスワードの脆弱性が挙げられます。近年、フィッシング攻撃やリスト型攻撃といった手法で、多くのパスワードが不正に取得され、単一のパスワードによる認証の限界が露呈しています。そのため、企業や個人において、パスワードに加え、他の要素を組み合わせた多要素認証の導入が急務となっています。

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多要素認証のメリット

セキュリティの強化できる

多要素認証の最大のメリットは、セキュリティを大幅に強化できる点です。パスワードのみの認証では、リスト型攻撃やフィッシング攻撃によって容易に突破されることがありますが、多要素認証では複数の異なる要素を組み合わせるため、不正アクセスが難しくなります。たとえ攻撃者がパスワードを入手したとしても、追加の認証要素(スマートフォンや生体情報)がない限り、アカウントにアクセスすることができません。このように、複数の防御壁を設けることで、従来の認証方式と比較して格段に安全性が向上します。

パスワード管理などの手間を削減できる

多要素認証を導入することで、パスワード管理の手間を軽減することも可能です。多くのシステムでは、複雑で長いパスワードの設定が推奨されていますが、これを頻繁に変更する必要があると、ユーザーにとって負担が大きくなります。多要素認証を利用すれば、パスワードだけに依存しないため、パスワードの複雑さに対する要求が緩和され、管理が簡単になります。また、パスワードを忘れてしまうリスクも低減できるため、業務効率の向上にも寄与します。

多要素認証と二段階認証の違い

多要素認証(MFA)と二段階認証(2FA)はしばしば混同されますが、厳密には異なる概念です。二段階認証は、通常「同じ認証要素を2回使用する」方式を指し、例えばパスワードと、そのパスワードに依存した確認コードを使うケースが該当します。一方、多要素認証は異なる認証要素を組み合わせる点で異なります。例えば、パスワード(知識要素)に加えて、スマートフォンの確認コード(所有要素)、さらに指紋認証(生体要素)を組み合わせることが多要素認証の特徴です。

多要素認証とシングルサインオンとの違い

多要素認証とシングルサインオン(SSO)は、どちらもセキュリティを強化するために使われますが、目的や仕組みに違いがあります。多要素認証は、セキュリティを重視した複数の認証手段を組み合わせた方式で、ユーザーがシステムにアクセスする際に、不正アクセスを防ぐことに特化しています。一方、シングルサインオンは、ユーザーが一度ログインすれば、複数のシステムやアプリケーションに連続してアクセスできる仕組みで、利便性の向上を目的としています。これにより、システムにアクセスする際の手間を減らしつつ、セキュリティの確保も行えます。

サイバー攻撃対策のポイント

未知の攻撃にも対応できるセキュリティツールの導入

サイバー攻撃に対処するためには、最新のセキュリティツールの導入が不可欠です。特に、ランサムウェアやゼロデイ攻撃に対しては、従来のウイルス対策ソフトでは不十分であり、AIを活用したEDR(Endpoint Detection and Response)や次世代ファイアウォールの導入が効果的です。これらのツールは、未知の脅威にも迅速に対応でき、攻撃が発生する前にシステムを保護することが可能です。

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セキュリティについて従業員教育を行う

サイバー攻撃対策を効果的に実行するためには、技術的なツールの導入だけでなく、従業員一人ひとりのセキュリティ意識を高めることも重要です。多くのサイバー攻撃は、従業員の不注意や不正な操作によって引き起こされるケースが少なくありません。特に、フィッシングメールや悪意のあるリンクをクリックしてしまうことによる情報漏えいは防止可能なものです。定期的なセキュリティ研修やシミュレーションを行うことで、従業員が最新の攻撃手法を理解し、適切な対応を取れるようになります。

セキュリティ対策のガイドラインを策定する

効果的なセキュリティ対策を実施するためには、企業ごとに具体的なセキュリティガイドラインを策定することが求められます。このガイドラインでは、データの取扱い方法、アクセス権の設定、アプリケーションの使用制限など、業務に関連するセキュリティポリシーを明確に定義します。従業員が守るべきセキュリティ基準を文書化することで、全員が一貫したセキュリティ対策を実施できる環境を構築します。

また、ガイドラインを定期的に見直し、最新のサイバー攻撃手法に対応するために必要な変更を加えることも重要です。企業の業務内容や使用する技術の変化に応じて、適切にセキュリティポリシーを更新することで、サイバー攻撃に対する防御力を維持できます。

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