仮想通貨(暗号資産)は、デジタル経済の発展に伴い、急速に普及してきました。ビットコインやイーサリアムなどの代表的な仮想通貨は、多くの投資家にとって魅力的な資産となっていますが、その一方で、セキュリティ上の危険性も無視できない問題となっています。本記事では、仮想通貨のセキュリティに関する主要なリスクや、実際に起きた事件、さらに自分の資産を守るための対策について詳しく解説します​​。

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まず仮想通貨(暗号資産)とは

仮想通貨とは、インターネット上で取引されるデジタル通貨のことを指します。中央銀行や政府が発行する法定通貨とは異なり、ブロックチェーン技術を基盤とする分散型の通貨システムで運営されています。代表的な仮想通貨には、ビットコインやイーサリアムなどがあり、これらは国境を越えて自由に送金や取引が可能です。しかし、その匿名性や利便性の反面、セキュリティ上の課題も多く存在します​​。

仮想通貨(暗号資産)のセキュリティ上の危険性とは

仮想通貨の取引や保有には、いくつかのセキュリティリスクが伴います。これらのリスクは、個人ユーザーが直面するものだけでなく、取引所やサービス提供者が標的となることもあります。以下では、詐欺や盗難、ハッキングといった主な危険性について詳しく説明します​​。

👉詐欺・盗難が多い

仮想通貨の分野では、詐欺や盗難の被害が後を絶ちません。特に、初心者が高額なリターンを期待して、詐欺的なICOやポンジスキームに投資してしまうケースが多く見られます。また、仮想通貨ウォレットがハッキングされ、資産が盗まれることも一般的な脅威です。これらのリスクは、適切なセキュリティ対策を怠ることでさらに増大します​​。

👉ハッキングされる恐れがある

仮想通貨は、デジタルデータとして保管されるため、ハッキングによる資産流出のリスクが常につきまといます。取引所やウォレットが攻撃を受けると、一瞬にして多額の資産が盗まれる可能性があり、実際に世界各地でそのような事件が発生しています。特に、二段階認証や強力なパスワードを設定していない場合、ハッキングのリスクが格段に高まります​​。

実際に起きた仮想通貨関連の事件

仮想通貨のセキュリティリスクは、理論上の問題だけでなく、実際に多くの事件が発生しています。ここでは、仮想通貨市場で特に注目を集めた3つの事件を紹介します​​。

🔐マウントゴックス事件(2014年)

「マウントゴックス事件」は、2014年に発生した仮想通貨市場最大級のハッキング事件です。世界最大のビットコイン取引所であったマウントゴックスから、約85万ビットコインが盗まれました。この被害は、ビットコインの取引システムにあるトランザクション手続きの脆弱性が原因とされています。さらに、取引所の内部システム管理の不備や、内部者の関与も疑われていますが、最終的な犯人は見つかっていません。

この事件を受け、マウントゴックスは経営破綻し、ビットコインの信頼性にも大きな影響を与えました。多くの投資家が被害を受け、仮想通貨市場全体が一時的に混乱しました。その後、仮想通貨取引所に対する規制やセキュリティ対策の強化が進められることとなりました​​。

🔐The DAO事件(2016年)

The DAO事件は、2016年にイーサリアムのスマートコントラクト技術に関連して発生した重大なハッキング事件です。DAOは分散型投資ファンドとして機能していましたが、そのスマートコントラクトに脆弱性があり、これを悪用してハッカーが約360万イーサ(約50億円相当)を不正に引き出しました。

事件後、イーサリアムコミュニティはこの問題に対処するために、ハードフォークを行う決断をしました。これにより、従来のブロックチェーンが「イーサリアムクラシック(ETC)」として存続し、ハードフォーク後の新しいチェーンが現在の「イーサリアム(ETH)」として運用されています。この事件は、スマートコントラクトのセキュリティに対する注意喚起となり、以降、コードの監査やセキュリティテストの重要性が強調されるようになりました​​。

🔐コインチェック事件(2018年)

2018年に発生したコインチェック事件は、日本国内の仮想通貨市場に大きな衝撃を与えたハッキング事件です。この事件では、約580億円相当のNEMが不正に流出しましたが、その原因は、コインチェックがNEMをホットウォレットで保管していたことにありました。ホットウォレットは、インターネットに接続されているため、ハッカーの攻撃に対して脆弱です。

事件後、コインチェックはユーザーへの補償を行い、金融庁の指導のもとでセキュリティ体制を強化しました。事件をきっかけに、仮想通貨取引所全体でコールドウォレットの利用を推奨する動きが加速し、セキュリティ基準の見直しが行われました。また、ユーザーも個々にセキュリティ意識を高める必要があることが強調されました​​。

仮想通貨のセキュリティ対策

仮想通貨の取引を安全に行うためには、適切なセキュリティ対策を取ることが不可欠です。ここでは、仮想通貨を安全に保つための具体的な方法を紹介します。これらの対策を実行することで、仮想通貨を安全に管理し、ハッキングや詐欺の被害を防ぐことができます​​。

✅セキュリティソフトでマルウェア対策をする

マルウェアによって仮想通貨のウォレットや取引情報が盗まれるリスクを防ぐために、セキュリティソフトの導入は必須です。セキュリティソフトは、ウイルスやトロイの木馬などのマルウェアからデバイスを保護し、定期的なスキャンによって潜在的な脅威を検出します。仮想通貨を扱う際は、常にセキュリティソフトを最新の状態に保ち、セキュリティのレベルを高めることが推奨されます​​。

✅パスワードを複雑で桁数の多い文字列にする

仮想通貨ウォレットや取引所アカウントを保護するために、複雑なパスワードの設定が不可欠です。パスワードは、英大文字・小文字、数字、記号を組み合わせた長い文字列にすることが推奨されます。簡単なパスワードや使い回しのパスワードは、ハッカーに簡単に突破される可能性があるため、特に注意が必要です。定期的にパスワードを変更することも、セキュリティを強化する一つの手段です​​。

✅他のネットサービスとパスワードを使い回さない

複数のサービスで同じパスワードを使用するのは非常に危険です。一度でも他のサービスでデータ漏洩が発生した場合、そのパスワードが流用され、仮想通貨ウォレットへの不正アクセスが試みられる可能性があります。仮想通貨取引に使用するアカウントには、他のサービスとは異なる一意のパスワードを設定し、セキュリティを強化することが重要です​​。

✅二段階認証を設定する

二段階認証(2FA)は、仮想通貨の取引やウォレットを保護するために効果的な方法です。パスワードに加え、携帯電話などを使った追加の認証手段を設定することで、不正アクセスのリスクを大幅に低減します。特に、取引所やウォレットのログイン時に二段階認証を必須とすることで、パスワードが漏洩してもセキュリティを維持することができます​​。

仮想通貨(暗号資産)は、利便性や成長可能性の高い投資対象ですが、セキュリティのリスクも多く存在します。詐欺や盗難、ハッキングのリスクは、仮想通貨市場においては現実の脅威です。これらのリスクに対抗するためには、強固なパスワードの設定や二段階認証、セキュリティソフトの使用など、個々のユーザーが十分な対策を取ることが不可欠です。仮想通貨を安全に管理し、取引するためには、常に最新のセキュリティ対策を実行することが求められます​​。

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