サイバー攻撃の脅威が日々増大し、いまや場所や企業規模を問わず様々な企業や組織が狙われるようになりました。近年、ランサムウェアやフィッシング詐欺など、サイバー犯罪の手口は巧妙化しており誰もが標的となる可能性があります。本記事では、長崎県で実際に起きたサイバー攻撃の事例を紹介し、効果的な対策について詳しく解説します。

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サイバー攻撃の脅威は場所を選ばない

サイバー攻撃は、大都市や特定の地域に限らず日本全国どこでも発生する可能性があり、様々な形態のサイバー攻撃が報告されています。これらの攻撃は、企業の規模や業種を問わず、あらゆる組織を標的としています。特に注意すべきは、サイバー攻撃の特徴として、攻撃者の特定が困難であること、被害が潜在化しやすいこと、そして国境を越えて実行可能であることが挙げられます。これらの特徴により、サイバー攻撃は従来の犯罪とは異なる対応が求められ、その脅威は年々増大しています。企業や組織は、自社がサイバー攻撃の標的になる可能性を常に意識し、適切な対策を講じる必要があります。

ランサムウェアをはじめとしたサイバー攻撃は増加傾向

近年、サイバー攻撃の中でも特に注目されているのがランサムウェアによる攻撃です。独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が発表した「情報セキュリティ10大脅威 2024」によると、組織向け脅威の第1位に「ランサムウェアによる被害」が挙げられています。この順位は前年から変わらず、ランサムウェアの脅威が依然として高いレベルにあることを示しています。

また、「サプライチェーンの弱点を悪用した攻撃」が第2位、「内部不正による情報漏えい等の被害」が第3位と続いています。これらの脅威も増加傾向にあり、企業は自社のセキュリティだけでなく、取引先や従業員のセキュリティ意識にも注意を払う必要があります。

警察庁が発表した「令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」によると、企業・団体等におけるランサムウェア被害として、令和5年上半期に都道府県警察から警察庁に報告のあった件数は103件であり、令和4年上半期以降、高い水準で推移しています。

ランサムウェア被害件数 推移

出展:令和5年上半期におけるサイバー空間をめぐる脅威の情勢等について

長崎県のサイバー攻撃事例

日付場所企業名概要
2023年8月長崎県佐世保市長崎県立大学
※引用:NHK
ー大学のeラーニングシステムが不正アクセス被害。約6,500人分の個人情報流出が懸念ー

長崎県立大学において使用されている学習管理ツール「e-ラーニングシステム(manabie)」が、不正アクセス被害を受けたとのこと。
不正アクセスが判明したのは8月4日で、ホームページからの情報提供によるもの。
公表時点で調査が継続中とのことで、原因や情報流出の有無といった詳細は特定されていない。
なお影響が懸念されている情報として、過去数年間にわたるmanabieを利用した学生、教員、地域連携者など約6,500人分の情報が該当するとされており、氏名、電話番号、メールアドレス、パスワード、学籍番号、成績などが含まれているとのこと。
2024年5月長崎県長崎市一般社団法人 長崎県物産振興協会
※引用:公式HP
ー顧客の個人情報 約78,000件の流出懸念ー

2024年5月26日、一般社団法人「長崎県物産振興協会」の通販サイト「e-ながさきどっとこむ」で不正アクセス被害が判明。
これにより、顧客の個人情報流出が懸念されている。

経緯は2024年5月21日、長崎県警からの連絡で「e-ながさきどっとこむ」のプログラムが不正に改ざんされていることが発覚。
会員登録された顧客の個人情報が流出している恐れからサイトを停止し、長崎県警と第三者調査機関による調査が開始された。

影響が懸念されたのは、同サイト内で2020年9月8日から2024年5月22日までにクレジットカード決済を利用した顧客とされており、名義人名、クレジットカード番号、有効期限、セキュリティコードを含むクレジットカード情報と、氏名、生年月日、メールアドレス、住所、電話番号、届け先情報などの個人情報がそれぞれ被害対象となっている。
原因は第三者の不正アクセスによるプログラムの改ざんで、サイトを利用した顧客が入力した情報が窃取される状態となっていたという。

行うべきサイバーセキュリティ対策

エンドポイントセキュリティ等のセキュリティソフトの導入

エンドポイントセキュリティの導入は、サイバー攻撃から組織を守る上で非常に重要な対策です。エンドポイントセキュリティとは、個々のデバイス(パソコン、スマートフォン、タブレットなど)にインストールされるセキュリティソフトウェアのことを指します。これらのソフトウェアは、マルウェアの検出と除去、不正アクセスの防止、データ暗号化などの機能を提供しデバイスレベルでの防御を可能にします。最新のセキュリティソフトを導入することで、新たに発見された脆弱性や最新のマルウェアに対する防御力を維持することができます。

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OSやアプリケーションの定期的な更新

OSやアプリケーションの定期的な更新は、サイバーセキュリティ対策の要となる重要な施策です。ソフトウェアの脆弱性は、サイバー攻撃者にとって格好の侵入口となるため、これらを迅速に修正することが不可欠です。

特に注意すべきは、サポートが終了したOSやアプリケーションの使用です。例えば、Windows 7のサポートは2020年1月に終了しましたが、依然として使用している組織も少なくありません。サポート終了後は新たな脆弱性に対する修正プログラムが提供されないため、使い続けることは非常に危険です。

また、ブラウザやオフィスソフトなど、日常的に使用するアプリケーションの更新も重要です。これらのソフトウェアは頻繁に利用されるため攻撃者の標的になりやすく、最新の状態を保つことが重要です。

定期的なデータのバックアップ

定期的なデータバックアップは、サイバー攻撃や不測の事態に備える上で不可欠な対策です。特に、ランサムウェア攻撃の被害を最小限に抑えるためには、バックアップの重要性が極めて高くなっています。バックアップを行う際は、以下の点に注意が必要です。

  1. 3-2-1ルールの適用:少なくとも3つのコピーを作成し、2種類以上の媒体に保存し、そのうち1つは遠隔地に保管する。
  2. オフラインバックアップの実施:ランサムウェア攻撃からバックアップデータを守るため、ネットワークから切り離された状態でバックアップを保管する。
  3. バックアップの暗号化:バックアップデータ自体も暗号化して保護する。
  4. 定期的なバックアップテスト:バックアップからの復元が確実に行えることを定期的に確認する。
  5. クラウドバックアップの活用:地理的に分散したバックアップを実現し、災害時のリスクも軽減できる。

これらの対策を組み合わせることで、より強固なバックアップ体制を構築することができます。また、バックアップの頻度は、データの重要性や更新頻度に応じて適切に設定する必要があります。

不審なWEBサイト・メールからのファイルダウンロードの禁止

不審なWEBサイトやメールからのファイルダウンロードを禁止することは、サイバー攻撃から組織を守る上で非常に重要な対策です。多くのマルウェアやランサムウェアは、不審なファイルのダウンロードを通じて感染します。具体的には以下のような対策が効果的です。

  1. フィッシングメール対策:送信者のメールアドレスや本文の内容を慎重に確認し、不自然な点がある場合は開かない。
  2. URLの確認:メール内のリンクは、マウスオーバーしてURLを確認してから開く。HTTPSの使用を確認する。
  3. 添付ファイルの注意:予期せぬ添付ファイルは開かない。特に、.exe、.vbs、.jsなどの実行可能ファイルには注意が必要。
  4. Webフィルタリングの導入:不審なサイトへのアクセスを組織レベルでブロックする。
  5. セキュリティ教育:従業員に対して、不審なサイトやメールの見分け方を定期的に教育する。
  6. サンドボックス環境の活用:不審なファイルを安全に解析できる環境を用意する。

これらの対策を組み合わせることで、不審なファイルのダウンロードによるリスクを大幅に軽減することができます。また、定期的な訓練を通じて、従業員のセキュリティ意識を高めることも重要です。

従業員教育とセキュリティ意識の向上

従業員教育とセキュリティ意識の向上は、組織全体のサイバーセキュリティを強化する上で極めて重要な要素です。最新のセキュリティ技術を導入しても、それを使用する従業員の意識が低ければその効果は限定的になってしまいます。効果的な従業員教育とセキュリティ意識向上のためには、以下のような取り組みが有効です。

  1. 定期的なセキュリティトレーニング:最新のサイバー脅威や対策について、定期的に従業員向けトレーニングを実施する。
  2. フィッシング訓練:実際のフィッシングメールに似た模擬メールを送信し、従業員の対応をテストする。
  3. セキュリティポリシーの周知:組織のセキュリティポリシーを明確に定め、全従業員に周知徹底する。
  4. インシデント報告の奨励:セキュリティインシデントを発見した際の報告手順を明確にし、報告を奨励する文化を醸成する。
  5. 役職別トレーニング:経営層、管理職、一般従業員など、役職に応じた適切なセキュリティ教育を実施する。
  6. 実践的な演習:サイバー攻撃を想定した実践的な演習を定期的に実施し、対応力を向上させる。
  7. 最新脅威情報の共有:セキュリティ関連のニュースや警告を定期的に共有し、従業員の意識を常に高く保つ。

これらの取り組みを継続的に実施することで、組織全体のセキュリティ意識を向上させ、人的要因によるセキュリティリスクを大幅に軽減することができます。

自社環境の脆弱性診断

サイバーセキュリティ対策の第一歩として、脆弱性診断を行うことが重要です。脆弱性診断では、システムの弱点や潜在的な脅威を特定し、修正するための具体的な対策を講じます。これにより、攻撃者が利用する可能性のあるセキュリティホールを事前に防ぐことができます。定期的な脆弱性診断を行うことで、システムの安全性を高めることができます。

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