SNSは私たちの日常生活に欠かせない存在となっています。しかし、その利便性に伴い、SNSを悪用した「なりすまし」や「偽広告」の問題が深刻化しています。本記事では、SNSのなりすましの仕組みや主な手法、さらにはその対策について詳しく解説します。
SNSのなりすましとは
SNSなりすましとは、他人や企業のアイデンティティを不正に使用し、SNS上でその人物や組織になりすまして活動する行為を指します。これは単なるいたずらではなく、深刻な犯罪行為となる可能性があります。なりすましの対象は多岐にわたります。
- 著名人:俳優、歌手、政治家など、社会的影響力のある人物
- 企業:大手企業や人気ブランドなど
- 公的機関:政府機関、教育機関、医療機関など
- 一般個人:友人、家族、同僚など
なりすまし行為の目的も様々です。
- 金銭的利益の獲得:詐欺や不正な商取引
- 個人情報の収集:フィッシング詐欺やデータ窃盗
- 評判の毀損:ターゲットの信用を落とすための虚偽情報の拡散
- 社会的影響力の悪用:偽情報の拡散や世論操作
SNSなりすましは新しい形の詐欺や犯罪として、その手口も年々巧妙化しています。次のセクションでは、具体的なSNSなりすましの手法について詳しく見ていきましょう。
SNSのなりすましの主な手法
SNSなりすましの手法は、技術の進化とともに多様化・複雑化しています。以下に、代表的な手法とその具体例を詳しく解説します。
偽アカウント作成
偽アカウントの作成は、なりすまし行為の基本となる手法です。攻撃者はターゲットの個人情報や写真を使用して、本物そっくりのアカウントを作成します。具体例としては下記になります。
- 著名人の名前とプロフィール写真を使用し、フォロワーを騙す
- 企業の公式ロゴやブランドイメージを使用した偽の企業アカウントを作成
- 友人や家族のアカウントを模倣し、親しい関係を装う
フィッシング詐欺
フィッシング詐欺はユーザーの個人情報やログイン情報を盗むための手法です。攻撃者は、信頼できるソースを装ってメッセージを送り、偽のウェブサイトへ誘導します。
- 「アカウントのセキュリティ確認が必要です」という偽のSNS運営からのメッセージ
- 「あなたの写真が投稿されています」というリンク付きの偽の通知
- 「プレゼントが当たりました」という偽の懸賞当選通知
偽広告
偽広告は、有名人や企業の名を騙り詐欺的な商品やサービスを宣伝する手法です。これらの広告は、SNSのアルゴリズムを利用して、ターゲットとなる層に効果的に表示されます。
- 著名人が推薦しているように見せかけた投資詐欺広告
- 大手企業の名を騙った偽の懸賞キャンペーン
- 有名ブランドの偽物商品を販売する広告
ディープフェイク技術の悪用
最新の技術を用いたなりすまし手法として、ディープフェイク技術の悪用が挙げられます。この技術を使用すると、本物そっくりの偽の動画や音声を作成することができます。
- 政治家の発言を改ざんした偽の動画の拡散
- 著名人が商品を推奨しているように見せかけた偽の動画広告
- 友人や家族の声を模倣した音声メッセージによる詐欺
ソーシャルエンジニアリング
ソーシャルエンジニアリングは、人間の心理を巧みに操作して情報を引き出す手法です。SNS上での親密な関係を構築し、徐々に個人情報や機密情報を入手していきます。
- 長期間にわたって友好的なやり取りを続け、信頼関係を築いた上での情報収集
- 共通の趣味や興味を装って接近し、個人情報を聞き出す
- 緊急事態を装って、急いで個人情報や金銭を要求する
これらの手法は、単独で使用されることもありますが、多くの場合、複数の手法を組み合わせて使用されます。例えば、偽アカウントを作成し、フィッシング詐欺を仕掛け、さらにソーシャルエンジニアリングを駆使するといった具合です。このように、SNSなりすましの手法は多岐にわたり、その巧妙さは年々増しています。次のセクションでは、このようななりすまし行為が実際にどれほど深刻な問題となっているのか、具体的な統計データを交えて見ていきましょう。
SNSなりすまし広告による相談件数が9.6倍に
国民生活センターの報告によると、SNSなりすまし広告に関する相談件数が急増しています。
SNSをきっかけとして、著名人を名乗ったり、つながりを示したりして投資を勧誘されたという消費者トラブルが急増しています。「○○(著名人)が主催する投資の勉強会」「○○(著名人)が投資のノウハウを教える」「○○(著名人)と知り合いで儲かる」などと勧誘し、投資名目で振込をしたものの、「追加費用を支払わないと出金できないと言われた」「相手と連絡が取れなくなった」などといった被害が発生しています。
SNSなりすましへの対策方法
SNSなりすましは深刻な問題ですが、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減することができます。以下に、効果的な対策方法を詳しく解説します。
パスワードの強化
強力なパスワードを設定することで、不正アクセスのリスクを大幅に減らすことができます。
- 複雑なパスワードの使用
- 最低12文字以上の長さ
- 大文字、小文字、数字、記号を組み合わせる
- 辞書に載っている単語や個人情報(生年月日など)を避ける
- パスワードの定期的な変更
- 3〜6ヶ月ごとにパスワードを変更する
- 過去に使用したパスワードの再利用を避ける
- パスワードマネージャーの利用
- 複雑なパスワードを安全に管理できる
- 異なるサービスごとにユニークなパスワードを設定可能
多要素認証の設定
多要素認証(MFA)は、パスワード以外の追加の認証方法を要求することでセキュリティを強化する仕組みです。
- SMS認証の設定
- ログイン時に携帯電話にSMSで送られてくる認証コードを入力
- 比較的簡単に設定可能だが、SIMスワッピング攻撃のリスクあり
- 認証アプリの使用
- Google AuthenticatorやMicrosoft Authenticatorなどのアプリを使用
- 定期的に変更される一時的なコードを生成
- SMSよりも安全性が高い
- 生体認証の活用
- 指紋認証や顔認証などを利用
- スマートフォンやPCに搭載されている機能を活用
- ハードウェアキーの使用
- 物理的な認証デバイスを使用
- 最も安全性の高い多要素認証方法の一つ
リンクや添付ファイルに注意
SNS上でのリンクや添付ファイルには特に注意が必要です。不審なリンクや添付ファイルをクリックすることで、フィッシングサイトへ誘導されたり、マルウェアに感染したりするリスクがあります。
- URLの確認
- メッセージの送信者が信頼できる人物かどうかを確認しましょう。特に、送信者が友人や知人であっても、アカウントが乗っ取られている可能性があるため、注意が必要です。不審なメッセージには返信せず、直接本人に確認することをおすすめします。
- メッセージの送信者を確認
- メッセージの送信者が信頼できる人物かどうかを確認しましょう。特に、送信者が友人や知人であっても、アカウントが乗っ取られている可能性があるため、注意が必要です。不審なメッセージには返信せず、直接本人に確認することをおすすめします。
- 不審な添付ファイルを開かない
- 不審な添付ファイルは、マルウェアやウイルスが含まれている可能性があります。添付ファイルを開く前に、送信者に確認するか、ウイルススキャンを行うことが重要です。
- SNS上の広告に注意
SNSなりすましにより想定されるリスク
SNSなりすましによるリスクは多岐にわたります。以下に、代表的なリスクを挙げその影響について詳しく解説します。
個人情報の漏洩
SNSなりすましにより、個人情報が第三者に渡るリスクがあります。例えば、偽のダイレクトメッセージやプロフィール上のURLリンクから不正サイトに誘導され、名前やメールアドレス、電話番号、さらにはクレジットカード情報などが盗まれることがあります。
金銭的被害
なりすましによる詐欺行為により、金銭的な被害を受ける可能性があります。例えば、偽広告を通じて高額な投資を勧誘され、実際には存在しない投資案件に資金を投入してしまうケースがあります。警察庁の報告によると、SNS型投資詐欺の被害額は700億円を超えており、その被害は深刻です。
信用の失墜
著名人や企業がなりすまし被害に遭うと、その信用が失墜するリスクがあります。例えば、企業の公式アカウントを装った偽アカウントが不正な情報を発信することで、顧客の信頼を失う可能性があります。
SNSのなりすましは適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に軽減することが可能です。パスワードの強化、多要素認証の設定、不審なリンクや添付ファイルへの注意など、基本的なセキュリティ対策を徹底することが重要です。また、SNS事業者や政府も、なりすまし対策を強化するための取り組みを進めています。読者の皆様も、日常的にこれらの対策を実践し、安全なSNS利用を心がけましょう。
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