「アドレスポイズニング」は、ネットワーク上の通信を妨害し、機密情報を盗み取る危険性があります。本記事では、アドレスポイズニングの仕組みや想定される被害、そして効果的な対策について詳しく解説していきます。

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アドレスポイズニングとは

アドレスポイズニングとは、ネットワーク上のデバイスやサーバーの識別情報を偽装し、不正にデータを傍受したり改ざんしたりする攻撃手法です。主に、ARPスプーフィング、DNSスプーフィング、IPスプーフィングなどの手法が用いられます。この攻撃は、ネットワークの基本的な仕組みを悪用するため、従来のセキュリティ対策では防ぎきれない場合があります。

アドレスポイズニングの仕組み

アドレスポイズニングの仕組みは、ネットワークプロトコルの脆弱性を利用しています。例えば、ARPスプーフィングでは、攻撃者が偽のARP応答パケットを送信し、ターゲットのMACアドレスとIPアドレスの対応関係を書き換えます。これにより、通信経路が攻撃者を経由するように変更され、データの傍受や改ざんが可能になります。

アドレスポイズニングで想定される被害

アドレスポイズニング攻撃が成功すると、様々な深刻な被害が想定されます。まず、機密情報の漏洩が挙げられます。攻撃者は通信を傍受することでパスワードやクレジットカード情報などの重要なデータを盗み取る可能性があります。また、通信内容の改ざんによりユーザーを偽のウェブサイトに誘導し、フィッシング詐欺を行うこともあります。さらに、ネットワークの正常な動作を妨害することで、サービス拒否(DoS)攻撃を引き起こす可能性もあります。企業にとっては、これらの被害によって信頼性の低下や経済的損失、法的責任が生じる可能性があります。

アドレスポイズニングの具体例

ARPスプーフィング

ARPスプーフィングは、イーサネットネットワークで使用されるARP(Address Resolution Protocol)の脆弱性を悪用する攻撃です。攻撃者は偽のARP応答パケットを送信し、ターゲットのIPアドレスとMACアドレスの対応関係を書き換えます。これにより、ネットワーク上の通信が攻撃者を経由するようになり、データの傍受や改ざんが可能になります。例えば、ローカルネットワーク内で、攻撃者がルーターになりすまし、全ての通信を傍受する事態が起こり得ます。

DNSスプーフィング

DNSスプーフィングは、ドメイン名システム(DNS)を標的とする攻撃です。攻撃者は偽のDNS応答を送信し、正規のウェブサイトのIPアドレスを攻撃者が制御するサーバーのIPアドレスに書き換えます。これにより、ユーザーが正規のURLを入力しても、知らないうちに偽のウェブサイトにアクセスしてしまう可能性があります。例えば、銀行のウェブサイトになりすました偽サイトを作成し、ユーザーの口座情報やログイン情報を盗み取るといった手口が考えられます。

IPスプーフィング

IPスプーフィングは、送信元IPアドレスを偽装する攻撃手法です。攻撃者は、信頼されているIPアドレスになりすますことで、ファイアウォールなどのセキュリティ対策をすり抜け、ネットワークに不正アクセスを試みます。この攻撃は、DDoS攻撃の一部として使用されることもあり、大量の偽装パケットを送信することで、ターゲットのサーバーやネットワークリソースを枯渇させる可能性があります。

アドレスポイズニング対策

アドレスポイズニングは深刻な脅威ですが、適切な対策を講じることで、リスクを大幅に軽減することができます。以下に、主要な対策方法を詳しく解説します。

ネットワークのセグメンテーション

ネットワークのセグメンテーションは、大規模なネットワークを小さな単位に分割し、それぞれのセグメント間の通信を制御する方法です。この対策により、攻撃者がネットワーク全体にアクセスすることを困難にし、被害の拡大を防ぐことができます。具体的には、VLANの設定やファイアウォールの適切な配置により、重要なシステムや機密データを含むセグメントを他のセグメントから隔離します。これにより、アドレスポイズニング攻撃が成功したとしても、その影響を局所化することが可能になります。

IP-MACアドレスバインディング

IP-MACアドレスバインディングは、特定のIPアドレスと特定のMACアドレスを紐付ける技術です。この対策により、不正なARP応答やIPアドレスの偽装を防ぐことができます。ネットワーク機器やDHCPサーバーでIP-MACアドレスバインディングを設定することで、登録されていない組み合わせの通信を遮断し、アドレスポイズニング攻撃を効果的に防止することができます。特に、静的IPアドレスを使用している環境では、この対策が非常に有効です。

パケットフィルタリング

パケットフィルタリングは、ネットワーク上を流れるデータパケットを検査し、特定の条件に基づいて通過や遮断を行う技術です。この対策により、不正なパケットや疑わしい通信を検出し、ブロックすることができます。ファイアウォールやルーターでパケットフィルタリングを設定し、送信元IPアドレスの偽装や不正なARPパケットを遮断することで、アドレスポイズニング攻撃を防ぐことができます。また、異常な通信パターンを検出することで、攻撃の早期発見にも役立ちます。

セキュリティ対策ソフトウェアの利用

セキュリティ対策ソフトウェアは、様々な脅威からシステムを保護する重要なツールです。アドレスポイズニング対策として、ネットワーク監視ツールやインテリジェントファイアウォールを導入することが効果的です。これらのソフトウェアは、不正な通信パターンやアドレス偽装を検出し、リアルタイムで警告や遮断を行います。また、定期的なセキュリティアップデートにより、新たな脅威にも対応することができます。特に、AIや機械学習を活用した最新のセキュリティソフトウェアは、高度な攻撃も検出できる可能性があります。

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