コンピューターウイルスは、現代のデジタル社会において避けては通れない脅威となっています。これらのウイルスは、システムやデータに甚大な被害をもたらすだけでなく、個人情報の漏洩や企業の業務停止など深刻な問題を引き起こします。

本記事では、コンピューターウイルスの基本的な定義から、その種類や感染経路、さらには有効な対策方法について詳しく解説します。

コンピューターウイルスとは

コンピューターウイルスとは、コンピューターシステムやデータに対して有害な影響を及ぼす不正なプログラムのことです。これらのウイルスは、ユーザーの意図しない操作を引き起こし、データの破壊、情報の漏洩、システムの機能停止などを引き起こす可能性があります。

ウイルスは、自己複製し他のファイルやシステムに感染を広げる性質を持つこともあります。ウイルスの主な目的は、データの破壊や盗難、システムの乗っ取りなど、多岐にわたります。近年では、企業や個人をターゲットにしたサイバー攻撃が増加しており、セキュリティ対策の重要性がますます高まっています。

コンピューターウイルスの主な種類

ワーム型ウイルス

ワーム型ウイルスは、ネットワークを介して自己増殖し、迅速に広がる特徴を持つウイルスです。ファイルの添付やリンクを介して送信され、感染したシステムの脆弱性を利用して他のデバイスに感染します。ワーム型ウイルスは、システムリソースを消費し、ネットワークのパフォーマンスを低下させることが一般的です。具体的な例としては、2000年に大規模な被害をもたらした「Love Bug」ウイルスが挙げられます。

トロイの木馬型ウイルス

トロイの木馬型ウイルスは、有用なソフトウェアやファイルに見せかけてユーザーを騙し、システムに侵入するタイプのマルウェアです。このウイルスは、システム内に潜伏し、バックドアを開けることで攻撃者が遠隔からシステムを操作できるようにします。トロイの木馬は、個人情報の盗難や不正アクセス、データの改ざんなどを引き起こす危険があります。代表的な例として、2013年に大規模な被害をもたらした「CryptoLocker」ウイルスがあります。

マクロ型ウイルス

マクロ型ウイルスは、マイクロソフトオフィスなどのアプリケーションのマクロ機能を利用して感染するウイルスです。主に、WordやExcelの文書ファイルに埋め込まれ、ファイルを開いたときにマクロが実行されることで感染が広がります。このタイプのウイルスは、データの破壊や文書の変更、さらには新たなウイルスのダウンロードを行うことがあります。例えば、「Melissa」ウイルスは、1999年に多くのシステムに感染し、電子メールを通じて急速に広がりました。

ファイル感染型ウイルス

ファイル感染型ウイルスは、実行可能ファイルに感染し、そのファイルが実行されるとウイルスが活性化するタイプのマルウェアです。このウイルスは、他の実行可能ファイルにも感染を広げ、システム全体に広がることがあります。ファイル感染型ウイルスは、ファイルの破壊や改ざん、システムのクラッシュを引き起こす可能性があります。例えば、1986年に発見された「Brain」ウイルスは、最初のPCウイルスとして知られています。

コンピュータウイルスの主な感染経路

メールに添付されたファイル

コンピュータウイルスの主要な感染経路の一つは、メールに添付されたファイルです。攻撃者は、信頼できる送信者を装って悪意のあるファイルを添付し、ユーザーに開かせることでウイルスを感染させます。特に、ビジネスメール詐欺(BEC)やフィッシングメールは、巧妙な手口でユーザーを騙し、ファイルを開かせることが多いです。これにより、企業の内部システムや個人のデバイスに深刻な被害をもたらすことがあります。

ネットワーク経由での感染

ネットワーク経由での感染は、コンピュータウイルスが迅速に広がる主要な手段の一つです。ウイルスは、ネットワーク内のデバイス間で自己複製し、感染を拡大します。特に、ネットワークの脆弱性を突くことで、企業内の複数のコンピュータに同時に感染するケースが増えています。ネットワーク経由の感染は、感染速度が速く、被害範囲が広がるため、早急な対策が求められます。

不審なWEBサイトや広告

不審なWEBサイトや広告を通じてコンピュータウイルスが感染するケースも多く見られます。ユーザーが信頼できないサイトにアクセスしたり、悪意のある広告をクリックすることで、ウイルスがダウンロードされることがあります。特に、無料ソフトウェアのダウンロードサイトや成人向けコンテンツのサイトは、ウイルス感染のリスクが高いです。これらのサイトを利用する際には、十分な注意が必要です。

提供元が不明なソフトウェアのインストール

提供元が不明なソフトウェアをインストールすることで、コンピュータウイルスに感染するリスクが高まります。攻撃者は、合法的なソフトウェアに見せかけてウイルスを仕込んだプログラムを配布し、ユーザーがインストールすることでシステムに侵入します。特に、無料ソフトウェアや非公式のダウンロードサイトからのインストールは危険です。インストール前には、提供元の信頼性を確認することが必要です。

USBメモリなどの外部記憶媒体の使用

USBメモリなどの外部記憶媒体を使用する際にも、コンピュータウイルスに感染するリスクがあります。感染したUSBメモリをパソコンに接続すると、ウイルスが自動的にシステムに転送されることがあります。特に、共有で使用されるUSBメモリや、不特定多数がアクセスするデバイスは注意が必要です。ウイルス対策ソフトを用いて、定期的に外部記憶媒体をスキャンすることが推奨されます。

ウイルス感染の兆候?注視すべき症状

身に覚えのないポップアップ・広告が表示される

ウイルスに感染した場合、身に覚えのないポップアップや広告が頻繁に表示されることがあります。これらのポップアップは、ユーザーを不正なサイトに誘導し、さらなるマルウェアのインストールを促すことが多いです。また、広告が大量に表示されることで、ブラウザの動作が遅くなることもあります。突然このような症状が現れた場合は、ウイルス感染を疑う必要があります。

ファイルやデータが勝手に削除される

ウイルスに感染した場合、ファイルやデータが勝手に削除されることがあります。これは、ウイルスがシステム内で不正な操作を行い、重要なファイルを消去するためです。特に、重要なビジネスファイルや個人のデータが突然消えると、大きな問題となります。このような現象が起こった場合、即座にバックアップを確認し、ウイルス対策を講じることが必要です。

ファイルがロックされたり、身代金を要求する画面が表示される

ウイルスに感染すると、ファイルがロックされ、身代金を要求する画面が表示されることがあります。これは、ランサムウェアと呼ばれるウイルスの一種で、ファイルを暗号化し、復号のために金銭を要求します。特に、ビジネス環境では重大な業務停止を引き起こすことがあり、迅速な対応が求められます。このような事態が発生した場合は、直ちに専門家に相談し、対応策を講じることが重要です。

通信速度が遅かったり、PCの動作が重い

ウイルスに感染した場合、通信速度が遅くなったり、PCの動作が重くなることがあります。ウイルスがシステムリソースを消費するため、全体のパフォーマンスが低下するのです。特に、急激に動作が遅くなったり、頻繁にフリーズする場合は、ウイルス感染を疑う必要があります。こうした症状が現れた場合は、ウイルススキャンを実行し、システムの状態を確認することが推奨されます。

コンピューターウイルスへの対策

EDRなどのセキュリティソフトの導入

コンピューターウイルスへの対策として、EDR(Endpoint Detection and Response)などのセキュリティソフトの導入が重要です。これらのソフトウェアは、リアルタイムでのウイルス検出と迅速な対応が可能であり、システムの安全性を高めます。特に、企業環境では複数のデバイスが接続されるため、EDRの導入によって全体のセキュリティを強化することが必要です。最新のセキュリティソフトを導入し、定期的にアップデートすることが推奨されます。

ウイルスチェックを行う

ウイルスチェックを定期的に行うことは、コンピューターウイルスへの対策として非常に効果的です。ウイルススキャンを実施することで、潜在的な脅威を早期に発見し、感染拡大を防ぐことができます。特に、重要なデータを扱うシステムや、インターネットに頻繁に接続するデバイスでは、定期的なウイルスチェックが必要です。自動スキャンのスケジュールを設定し、常にシステムをクリーンな状態に保つことが推奨されます。

不審なメールやWEBサイトは開かない

不審なメールやWEBサイトを開かないことは、コンピューターウイルス感染を防ぐための重要な対策です。攻撃者は、フィッシングメールや悪意のあるサイトを利用してウイルスを拡散させることが多いため、信頼できない送信者やリンクはクリックしないようにすることが重要です。特に、知らない相手からのメールや、身に覚えのない添付ファイルには注意が必要です。

(感染した場合)ネットワークを切断する

万が一、ウイルスに感染した場合は、直ちにネットワークを切断することが重要です。これにより、ウイルスが他のデバイスやネットワーク全体に拡散するのを防ぐことができます。ネットワークを切断した後は、セキュリティソフトを用いてシステム全体のスキャンを実施し、感染を除去するための対策を講じる必要があります。迅速な対応が被害の拡大を防ぐ鍵となります。

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