サイバーキルチェーンは、サイバー攻撃が成功するまでの一連のプロセスを理解し効果的な対策を立てるためのフレームワークです。この概念は、攻撃者の手法を理解し防御戦略を構築するのに役立ちます。本記事では、サイバーキルチェーンの各段階について、具体的な例を交えながらわかりやすく解説し、実際に企業や組織が取り組むべき対策についても紹介します。

サイバーキルチェーンとは

サイバーキルチェーンとはアメリカの宇宙船・航空機製造会社「ロッキード・マーチン社」が2009年に作成した、サイバー攻撃の行動段階を構造化して整理したものです。もともと軍事用語として用いられていた、敵の攻撃構造を破壊するという考え方の「キルチェーン」をサイバー攻撃に適用したとされています。

そのサイバーキルチェーンは、攻撃者が目標に到達するまでに踏む一連のステップを体系的に表したモデルです。具体的にサイバーキルチェーンは以下の7つの段階で構成されます。各段階を詳しく見ていきましょう。

  • 偵察
    攻撃者が隠密偵察と威力偵察を通じて標的の情報を収集するフェーズです。隠密偵察では公開情報や取引先関係を利用し、威力偵察では小規模な攻撃を仕掛けて反応を見ます。対策としては情報の適切な管理とインシデント対応体制の整備が挙げられます。

  • 武器化
    このフェーズでは、攻撃者は収集した情報を基に攻撃コードやマルウェアを開発します。例えば、メールに添付されるマルウェアや偽のウェブサイトを作成することがあります。武器化された攻撃ツールに対抗するには、セキュリティソフトウェアの更新を常に最新に保ち、できる限り脆弱性を減らすことが重要です。

  • デリバリー(配送)
    攻撃ツールを標的に送り込むフェーズです。メールの添付ファイル、フィッシングサイト、ソーシャルメディアを通じて、攻撃ツールが配布されます。この段階での防御策には、メールのフィルタリングや従業員へのセキュリティ意識の向上があります。

  • エクスプロイト(攻撃)
    標的が武器化されたコンテンツ(例えば、悪意のあるメール添付ファイルやリンク)を実行することで、攻撃者は標的のシステムに侵入します。このフェーズで、標的のシステムのセキュリティが突破され、攻撃者はさらなるアクションを起こすための足がかりを得ます。

  • インストール
    攻撃者は標的のシステム内にマルウェアやトロイの木馬をインストールし、持続的なアクセスを確保します。このフェーズでは攻撃者は、標的のネットワーク内で自由に動き回り、機密情報へのアクセスや追加のマルウェアの配布が可能になります。

  • 遠隔操作
    このフェーズでは、攻撃者はインストールしたマルウェアを通じて標的のシステムを遠隔操作します。攻撃者はデータの窃盗、追加のシステムへの侵入、さらなる攻撃の準備などさまざまな悪意のある活動を行います。

  • 目的の実行
    データの窃盗、システムの破壊、ランサムウェアによる身代金の要求など、攻撃者はその目的を達成するフェーズになります。攻撃が完了した後、攻撃者は証拠を消去し検出を避けるためにシステムから撤退します。

各段階で適切な対策を講じることにより、攻撃の検知、防御、影響の軽減が可能になります。サイバーキルチェーンモデルを活用することで、組織は攻撃者の手法を予測し、効果的な対策を立てることができるようになります。サイバーセキュリティの戦略を立てる上で、このモデルは非常に有効なツールとなるでしょう。

サイバーキルチェーンを意識した対策

サイバーキルチェーンを理解し、それぞれの段階で適切な対策を講じることで攻撃の早期発見や被害の軽減が可能になります。侵入を完全に防ぐことは難しいため、侵入後の対策も含めた多層的な防御が求められます。攻撃の検知から対応、復旧までのプロセスを確立し、定期的なセキュリティトレーニングとシステムの監視を実施することが重要です。

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