今回のテーマは「不正アクセス」に関するものです。この記事では不正アクセスの概要からその傾向、手口、そして最も重要な対策方法について、わかりやすく解説していきます。この分野における最新の動向や対応策を織り交ぜながら、皆さんが直面するかもしれないセキュリティ上の脅威を防ぐための一助になれば幸いです。

不正アクセスとは

不正アクセスとは、許可されていない方法でコンピューターシステムやネットワークに侵入する行為を指します。この行為は、情報の盗難・改ざん・サービスの妨害など多岐にわたる悪影響を及ぼす可能性があります。
不正アクセスの手段は、高度な技術を使ったものから単純な推測や詐欺によるものまでさまざまです。現代社会においては、企業や個人のデジタル資産を守る上で、これらの不正アクセスから身を守ることが重要な課題となっています。

不正アクセスは増加傾向

デジタル化が進むにつれ、不正アクセスの試みも増加しています。特に、コロナウイルスの流行に伴いリモートワークが普及したことで、企業のセキュリティシステムに新たな脆弱性が露呈しました。攻撃者は、このような脆弱性を狙って、ますます巧妙な手口で不正アクセスを試みています。

下図は、警察庁が発表した不正アクセス行為の認知件数の推移です。令和4年には2,200件もの不正アクセス行為が認知されており、一時的に減少傾向にあった令和3年に比べ45.1%増加しています。

引用:不正アクセス行為の発生状況及びアクセス制御機能に関する技術の研究開発の状況

不正アクセスの手口

ここでは不正アクセスの手口として、ウイルスを利用した攻撃、脆弱性を突く攻撃、パスワードを利用した攻撃、フィッシング行為といった現在広く行われている不正アクセスの主要な手口を紹介します。
これらの手口を理解することで、攻撃者がどのようにしてセキュリティ対策を回避しようとするのか、その方法と動機を把握することができます。

ウイルスを利用した不正アクセス

・ランサムウェア攻撃

ランサムウェアは、被害者のファイルやシステムを暗号化し、復元のための身代金を要求するマルウェアの一種です。この攻撃は、データの復元が困難であるため、企業にとって重大な脅威となっています。

・Emotet(エモテット)

Emotetは、初期には銀行情報を狙ったトロイの木馬として登場しましたが、現在では他のマルウェアを配布するためのプラットフォームとして機能しています。このマルウェアは、メールで拡散され、添付ファイルやリンクを通じて感染します。

脆弱性を狙った不正アクセス

・SQLインジェクション

SQLインジェクション攻撃は、ウェブアプリケーションのセキュリティが不十分な場合に発生します。攻撃者は、悪意のあるSQLコードをウェブフォームなどに注入し、データベースから情報を盗み出します。

・パッチ未適用のサーバーに対する攻撃

ソフトウェアの脆弱性を修正するパッチが適用されていないサーバーは、攻撃者にとって格好の標的です。このようなサーバーを利用して、機密情報へのアクセスやサービスの妨害を試みます。

パスワードを利用した不正アクセス

・ブルートフォース攻撃

ブルートフォース攻撃は、総当たり攻撃とも呼ばれ、攻撃者が無数のパスワードを試し、アカウントへの不正アクセスを試みる方法です。この攻撃は、弱いパスワードを使用しているアカウントに対して特に有効です。

・パスワードリスト攻撃

パスワードリスト攻撃では、以前のデータ漏洩で公開されたユーザー名とパスワードのリストを利用して不正アクセスを試みます。多くのユーザーが同じパスワードを複数のサービスで使用しているため、この攻撃は広範囲に影響を及ぼす可能性があります。

フィッシング行為からの不正アクセス

フィッシングは、正規の企業や組織を装い、ユーザーに機密情報(パスワードやクレジットカード情報など)の入力を促す詐欺行為です。この手法により、攻撃者はユーザーのアカウントに不正アクセスすることができます。

不正アクセスへの対策方法

続いて対策方法をご紹介します。自社のデジタル資産を守るために効果的かつ実行可能な対策を講じることが不可欠です。 ここでは、脆弱性診断から多要素認証の導入、従業員教育に至るまで不正アクセスを防ぐための具体的な対策方法を詳しく解説します。

まずは自社環境の健康診断(脆弱性診断)

脆弱性診断は、企業が自社のシステムやアプリケーションに存在するセキュリティの脆弱点を特定し、修正するための重要なステップです。この診断を定期的に行うことで、不正アクセスのリスクを低減できます。

高性能なセキュリティツールの導入

セキュリティ対策には、ファイアウォール、アンチウイルスソフトウェア、侵入検知システム(IDS)、Eエンドポイントセキュリティ(EDR)など、高性能なセキュリティツールの導入が欠かせません。これらのツールは、不正アクセスの試みを防ぎ、早期に検知するのに役立ちます。

多要素認証の導入

多要素認証(MFA)は、パスワードだけでなくSMSで送信されるコードや生体認証など、複数の認証手段を組み合わせることでセキュリティを強化します。MFAの導入は、不正アクセスによる被害を著しく減少させることができます。また、今年話題となっているPasskey(パスキー)認証なども有効です。

強力なパスワードの設定

強力なパスワードの設定は基本中の基本です。パスワードは長く(14文字など)、文字、数字、特殊文字を組み合わせることが推奨されます。また、定期的なパスワードの変更や、サービスごとに異なるパスワードの使用も重要です。

定期的なパッチ適用・システムのアップデート

ソフトウェアやシステムのセキュリティパッチを定期的に適用することは、既知の脆弱性を修正し、攻撃者の侵入を防ぐ上で極めて重要です。メーカーからのアップデート情報には常に注意を払い、速やかに対応することが求められます。

従業員のセキュリティ教育

最後に、従業員のセキュリティ意識の向上は、不正アクセス対策の中で非常に重要な位置を占めます。定期的なセキュリティ研修や、フィッシング詐欺などの最新の脅威に関する情報の共有が、企業を守る上で欠かせません。

不正アクセスは、常に進化し続ける脅威です。しかし、正しい知識と適切な対策をもって臨めばそのリスクを大きく軽減することが可能です。この記事が、皆さんのセキュリティ対策の一助となれば幸いです。

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