インターネットとウェブアプリケーションの使用が日常的になるのことに比例してセキュリティリスクが増大しています。 クロスサイトスクリプティング(XSS)は、攻撃者が悪意のあるスクリプトをWEBサイトに注入し、他のユーザーのブラウザ上で実行させることによって様々な不正行為を可能にする攻撃手法です。 これにより、被害者のセッション情報の窃取やWEBサイト上に偽の情報を表示させるなど、深刻な影響を及ぼすことがあります。
昨今、サイバー攻撃の脅威は急速に進化し、より巧妙で複雑な攻撃が日常化しています。 その中でXSSは、攻撃者に利用される脆弱性の一つとして位置づけられており、WEBアプリケーションの開発者はもちろん、一般のインターネットユーザーもこの脅威に注意を払う必要があります。
この記事では、XSSの概要や攻撃手法、想定される被害、効果的な対策方法について詳細に解説します。
クロスサイトスクリプティング(XSS)とは
クロスサイトスクリプティング(XSS)は、Webアプリケーションのセキュリティ脆弱性の一つです。この攻撃は、悪意のあるスクリプトをWebサイトに注入し、他のユーザーのブラウザで実行させることを目的としています。攻撃者はこの方法を用いて、ユーザーのセッションCookieを窃取したり、ウェブページに偽情報を表示させたりすることが可能です。これにより、被害者は自身の知らないうちにセキュリティ上のリスクに晒されることになります。
クロスサイトリクエストフォージェリ(CSRF)との違い
CSRFは、ウェブサイトがユーザーのブラウザからのリクエストが合法的なものかどうかを適切に検証できないことを悪用する攻撃です。この攻撃では、ユーザーがログインしているウェブサイトに対して、攻撃者が用意した不正なリクエストを送信させます。例えば、攻撃者は被害者がログインしているSNSサイトで、被害者の知らないうちにメッセージを送信するようなリクエストを生成することができます。
▼主な違い
- 攻撃方法: XSSは悪意のあるスクリプトをウェブページに注入することで攻撃を実行しますが、CSRFはユーザーがログインしているセッションを利用して不正なリクエストを送信します。
- 被害の性質: XSSは主に情報漏洩やセッションの乗っ取りを引き起こしますが、CSRFはユーザーが知らないうちに重要な操作(例えばパスワードの変更、財務情報の更新など)を行わせることを目的としています。
- 防御策: XSSに対しては、ユーザーからの入力をエスケープ処理することが効果的です。一方、CSRFに対しては、リクエストが本人によるものであることを確認するために、トークンを使用するなどの対策が必要です。
クロスサイトスクリプティングの攻撃手法
クロスサイトスクリプティングにはいくつかの異なる攻撃手法が存在します。主なものには以下のようなものがあります
反射型XSS
このタイプの攻撃では、攻撃者がスクリプトを含むURLを被害者に送信します。被害者がそのリンクをクリックすると、攻撃者の用意したスクリプトが被害者のブラウザ上で実行され、セキュリティ侵害が発生します。このタイプのXSSは、通常、メールやメッセージングアプリを介してリンクが送られるため、不審なメールやメッセージは開かない等、注意することが必要です。
持続型XSS
持続型XSSは、攻撃者がWebサーバのデータベースにスクリプトを直接注入するタイプの攻撃です。この攻撃では、被害者が特定のWebページを訪問するだけで、攻撃者のスクリプトが実行されるため、非常に危険です。掲示板やコメント欄など、ユーザーの入力がそのままWebページに表示されるような場所でよく見られます。
DOMベースXSS
DOMベースXSS攻撃は、WebページのDOM(Document Object Model)を操作して不正なスクリプトを実行させるタイプの攻撃です。この攻撃は、サーバー側ではなくクライアント側のブラウザ上で実行されるため、サーバー側の対策だけでは防ぎにくい特徴があります。
Universal XSS(UXSS)
Universal XSSは、Webブラウザやブラウザの拡張機能の脆弱性を利用したXSSです。このタイプの攻撃は、Webアプリケーション開発者側では対処が難しく、ブラウザ自体のセキュリティが重要になります。
クロスサイトスクリプティングで起こる被害
クロスサイトスクリプティング攻撃によって発生する主な被害には以下のようなものがあります。
Cookieの情報が漏出する
被害者のブラウザからCookie情報が攻撃者に漏れると、攻撃者は被害者のセッションを乗っ取り、アカウント情報や機密情報を不正に取得することが可能です。これにより、オンラインサービスのアカウントが乗っ取られたり、個人情報が漏洩するリスクが高まります。
正規のサイト上に偽の情報が表示される
攻撃者がWebサイト上に偽の情報や誤解を招くコンテンツを表示させることができます。このような偽情報によって、ユーザーは誤った行動をとるリスクがあります。例えば、偽のログインフォームを表示させ、ユーザーの認証情報を盗むなどの行為が可能です。
クロスサイトスクリプティングの対策方法
クロスサイトスクリプティングに対する対策は、Webアプリケーション開発者とユーザーの両方が行う必要があります。効果的な対策方法には以下のようなものがあります。
特殊文字をエスケープ処理する
Webアプリケーション開発者は、HTMLにおける特殊文字(例えば「<」「>」「&」など)を適切にエスケープ処理することで、スクリプトが挿入されることを防ぎます。この処理は、HTMLの文法上特別な意味を持つ記号を通常の文字列として扱うために必要です。
WAFの導入
Web Application Firewall(WAF)を導入することにより、Webアプリケーションへの不正なアクセスや攻撃をブロックすることができます。WAFは、エスケープ処理の漏れがあった場合に備えた予備の防御策として機能します。
脆弱性がないソフトウェアの利用
Webアプリケーション開発者は、利用しているライブラリやフレームワーク、ブラウザが最新の状態に保たれていることを確認する必要があります。古いバージョンにはセキュリティ上の脆弱性が存在することが多いため、常に最新の状態に更新することが重要です。
企業(Webサイト)側で行う対策
企業やウェブサイトの運営者は、XSS攻撃への対策として、サイトのコードに対する脆弱性を定期的にチェックし、入力されるデータに対するバリデーションを強化する必要があります。また、安全でないURLやスクリプトの使用を避ける、セキュリティパッチを適時適用するなどの措置も重要です。
ユーザー側で行う対策
ユーザーとしては、ブラウザやオペレーティングシステムを常に最新の状態に保ち、セキュリティ対策が施された信頼できるアプリケーションやブラウザの拡張機能を使用することが重要です。また、怪しいリンクやメールには注意を払い、信頼できるセキュリティソフトを利用することで、不正なスクリプトの実行を防ぐことができます。
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